NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)第36回「武士の鑑(かがみ)」で出演を終えた、畠山重忠役の中川大志(24)が存在感を放っていた。

18日放送の同回では、謀反の罪を着せられた畠山家が権力争いにのみ込まれる形で鎌倉幕府と対立。軍を率いる北条義時(小栗旬)と壮絶な殴り合いを繰り広げ、“武士のかがみ”と言われる重忠の最期を演じきった。

知性と勇敢さを兼ね備え、御家人仲間から信頼を寄せられる役どころ。血みどろのアクションと並んで印象的だったのは、戦を避けようと説得にやってきた和田義盛(横田栄司)に「戦など誰がしたいと思うか!」と感情を爆発させるシーン。落ち着いた人物として描かれてきた重忠が珍しく声を荒らげ、武士として曲げられない信念と無意味な衝突への無念さがにじんでいた。

豪快な和田義盛との“好対照コンビ”は視聴者人気も高く、オンライン取材で撮影を振り返った中川は「勝手にライバル視している和田とそれを相手にしない畠山と、いつもやり合っている2人の愛らしくてかわいいやりとりが好きだった」と語った。長い時間をともに過ごした義盛が、戦を前に単身会いにやってくる展開は「三谷(幸喜)さん、ずるいよ」と胸に迫るものがあったという。「台本を読んだ時からグッときちゃって、こらえるのが必死だった」と、この感情が熱のこもった芝居につながったようだ。

演技とともに評判だったのは、御家人役のベテラン俳優たちに交じった時の違和感のなさ。中川自身は現在24歳だが、「その歳にしてあの存在感」「ダントツ若いのに周りの役者陣に全く負けてない」などと見劣りしない迫力がネット上でも話題だった。重忠は第1回から登場し、NHKによると、中川は11歳ごろから42歳で討ち死にするまでを演じているという。ひげ以外の大がかりな老けメークもなく、24歳の若者が42歳に見えるかと言われたら無理はある。しかし見た目の若さが視聴者のノイズになることなく、すんなり受け入れられているのは、劇中の中川がしっかりと42歳の風格を漂わせていたからだろう。

ネットでは「中川大志が主演する大河ドラマを見たい」との待望論も散見される。近い将来、現実になりそうな気がする。【遠藤尚子】