「2022ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた30語が先週、発表され、インティマシー・コーディネーターが選出された。
インティマシーとは、いわゆる映画やドラマでの濡れ場をさす。制作現場で、セックスやヌード、キスシーンなどの撮影の際、監督と俳優の間を取り持つ仕事で、アメリカのハリウッドで生まれた。
きっかけは、#MeToo運動。ハリウッドの有名プロデューサーが100人以上の女性からセクハラの告発を受けたという騒動だ。役をちらつかせて、駆け出しの女優たちに、望まない行為を迫っていた事実が暴露された。単に、上下関係を利用して性行為などを迫ったということだけでなく、映画やドラマでの監督を中心とした、男性優位社会での、さまざまな行動について、見直そうという機運が高まった。
この騒動をきっかけに、制作現場では、リスペクト・トレーニングが行われたり、インティマシー・コーディネーターという仕事が生まれた。
アメリカではIPA(Intimacy Professionals Association)やIDC(Intimacy Directors and Coordinators)などの団体で研修を受け、試験にクリアすると、インティマシー・コーディネーターとして仕事ができる。
日本で、同コーディネーターとして仕事をしているのは、現在は、IPA所属の浅田智穂さんと西山ももこさんの2人しかいない。
浅田さんは、現在放送中のBS-TBS連続ドラマ「サワコ-それは、果てしなき復讐-」(日曜午後11時)に参加しており、「ニュースの教科書」という紙面でインティマシー・コーディネーターを取り上げるにあたり、浅田さんにインタビューをさせてもらった。
彼女が強調したのは、制作者側にとっては表現の自由の敵みたいに思われたり、役者さん側からは、脱がす役割の人と思われたりする、という誤解だ。
そうではなく、この仕事は、監督と役者の間に入り、ここまでやるという取り決めを事前に確認することが基本だ。激しい濡れ場を撮りたい監督がいて、それに対して役者が事前に応じていれば問題は起こりにくい。
ただ、これまでの撮影現場では、台本にはキスシーンとだけ書かれていて、役者はどのようなキスをすればいいのか、現場に行かないと分からないケースも多かったという。
キスシーンといっても、口づけ寸前までから、軽い口づけ、ディープキス、さらには舌を入れたり、あるいは双方が舌をからめあうなど、そのシーンは幅広い。ある女優は撮影でのキスシーンが自身のファーストキスだったこともあり、その後トラウマなったケースもあったという。
キスシーンでさえ、トラウマになるということは、人前で、裸をさらすヌードシーンはなおさらだと思う。
個人的にも反省点があると思っている。過去には「体当たりな演技…」などといった表現で、いわゆる激しい濡れ場シーンを演じた女優を称賛する記事を書いたことだ。スクリーンの中で、脱げる女優こそが、真の女優。などといった思いは、それこそ男性優位な社会での一面的な見方なのだったと、反省せざるをえない。【竹村章】



