大竹まこと(73)がラジオ界で新たな金字塔を打ち立てる。パーソナリティーを務める文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(月~金曜午後1時)が、2007年(平19)5月スタートから8日で放送4000回を迎える。シュールなコント師、暴れん坊の時代をへて、今や時代を冷静にとらえて世の不条理に鋭く切り込む発言を続けている。ラジオの魅力、番組と向き合う大竹の今に迫った。

     ◇     ◇     ◇

番組が始まって15年7カ月。月曜から金曜まで、あるときは冷静に、時には熱く心高ぶり、怒りをあらわにする。大竹流の喜怒哀楽を前面に出してマイクに気持ちを込めてきた。

「回数を区切れば4000回。休みの時はめったにこの番組は聞かない。聴取率もあんまり低かったら番組が終わるから。悪いのにずっとやる気もしない。ずっと1位でいられるわけじゃないけど、ケツを引いたら終わることはあると思う。まぁ一喜一憂はしない」

テレビで見せた暴れん坊から一転、ラジオでは弱者に寄り添い、優しく言葉をつむぐ。

「自分の中で変わったね。元々、人の話をあんまり聞けないタイプ。聞いてるような顔はできるんだけど、なかなかちゃんと聞くのは難しい。それがほんのちょっと、前に比べたら少しぐらいは聞けるっていうかね。テレビが衰退しつつある時代、このラジオはテレビのノリを超えている。同じじゃダメだなっていう感じかな」

テレビとラジオの違いが、変化をもたらした。「テレビはね、意見をタイトに言わないとダメ、使ってもらえない。ラジオは、そんなにタイトにしゃべらなくてもいい。いろいろそぎ落とさなくてしゃべるっていうのは変な話、ダラダラしゃべっていてもいいわけだ。俺の本性もでる。テレビはタイトだから自分の本音みたいなことに近づかなくて済む。テレビの方は虚構性を保てる。乱暴なっていうキャラがあったら、その中にいる間は大丈夫なんだけど、ラジオはオールマイティーだから虚構が保てない」と分析した。

「ゴールデンラジオ」のオープニングは30分以上もCMが入ることなく大竹のしゃべりが続く。「今の時代、30分も最初からしゃべり続けているバカは、他に1人もいない。30分間、なんのスポンサーCMも入りません。CMが必要なんですけどスポンサー様のご理解ですよね」と感謝する。

パートナーは日替わり。水曜担当の壇蜜(42)は「この番組が終わったら、大竹さんの面倒は私が見る」と“大竹LOVE”を公言。「日本のリチャード・ギア」と言われたモテッぷりは健在だ。大竹は「もう73歳ですから。多少は介護の気持ちも入ってる」と笑う。

73歳で4000回。「ここまで来ちゃうと、そんな先まで考えてない。まぁ、こんなに続いちゃったって驚きながらやってるのが現実です。変に意気込んで来たわけじゃないから、ずっと続けて来られた」。

肩の力を抜いて、ゆっくりと。大竹が電波に乗せる言葉には、本音と本性、人生観が詰まっている。今日も、明日も番組は続く。【小谷野俊哉】

◆大竹(おおたけ)まこと 1949年(昭24)5月22日、東京都生まれ。舞台俳優をしながら79年に、きたろう、斉木しげるとコントユニット、シティボーイズ結成。テレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル」(日曜正午)、NHK「チコちゃんに叱られる!」(金曜午後7時57分)などに出演。

◆文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」(月~金曜午後1時~3時30分) パートナーは月曜=阿佐ヶ谷姉妹、火曜=小島慶子、水曜=壇蜜&いとうあさこ、木曜=はるな愛、大久保佳代子、光浦靖子、ヒコロヒー、金曜=室井佑月。アシスタントは同局アナウンサーの砂山圭太郎、太田英明、鈴木純子。