高橋留美子氏の人気漫画をアニメ化した「うる星やつら」や赤塚不二夫氏の漫画をアニメ化した「おそ松くん」を制作、プロデュースしたことで知られる、スタジオぴえろ創立者の布川郁司(ぬのかわ・ゆうじ)さん(元同社社長、会長、最高顧問)が25日、急逝したことが26日、分かった。75歳だった。葬儀は遺族の意向で近親者のみで執り行う予定で、後日、同社主催のお別れの会が開かれる予定だという。同社も同日、公式ツイッターで発表した。

布川さんは山形県酒田市生まれで、複数のアニメ制作会社を経て、タツノコプロで75年のフジテレビ系アニメ「タイムボカン」シリーズの企画に関わった。さらに同系の「いなかっぺ大将」「みなしごハッチ」「科学忍者隊ガッチャマン」など、人気アニメの演出、制作に携わった。

79年には、スウェーデンの人気児童文学をアニメ化したNHK「ニルスのふしぎな旅」を制作するため、スタジオぴえろを設立し、社長に就任。“アニメ界の奇才”の異名を持ち、さまざまな画期的なアニメーションを世に送り出した。83年の日本テレビ系アニメ「魔法の天使クリィミーマミ」をはじめとした「魔法少女シリーズ」を制作し、一大ムーブメントを起こした。

02年には、日本のアニメ文化を守り、育て、産業として世界に道を拓くことを目的に、02年5月に設立された、日本動画協会の設立に携わった。近年では01年のテレビ東京系アニメ「ヒカルの碁」を企画した。15年には、ぴえろが「おそ松くん」を原作とした新作アニメ「おそ松さん」を制作。そのことを受け、布川さんは翌16年に「おそ松さん」をテーマにしたビジネス書「『おそ松さん』の企画術 ヒットの秘密を解き明かす」を出版した。

「おそ松さん」は今年3月に、Snow Manが主演した実写映画も製作、公開されるほどのコンテンツとなった。