先日、大手芸能事務所ホリプロの新人女優、佐竹桃華(20)を取材した。

毎年、成人の日の前後に、晴れ着姿で、同社の近くにある東京・目黒の大円寺をお参り。晴れ着を披露するのが恒例だ。さらに付け加えると、晴れ着姿でジャンプするという写真を撮るのもお決まりだ。

いつごろから定着したのかはわからないが、業界の中では、毎年のお決まりごとになっている。毎年、期待の新人が途切れなく出てくるというのも、大手事務所ならでは。

佐竹は、地元で開催された成人の集いには仕事で出席できなかったという。20歳の抱負として「自分で作り出す力や、自分にしか出せないものを出せるように頑張っていきたいなって思っています」などと語った。

20年のホリプロスカウトキャラバンで特別賞を受賞して芸能界入り。昨年公開されたディズニー映画「私ときどきレッサーパンダ」では主人公の声を務めたほか、現在は舞台「ハリーポッターと呪いの子」に出演している。

かわいらしいアニメ声が特徴だ。だが、その声は小さい頃からコンプレックスだったという。作っている声だと思われるのがいやだったようだ。それが、ディズニー作品の声の主人公を射止め「自分の声を好きになれたというか、自信に変わりました。この声は自分の長所なんだと。今後も1つの夢として、マーベル作品がすごい大好きなので、マーベル映画の実写版の声をやってみたいなって思っています」。

特別賞を受賞した際は憧れの女優に高畑充希を挙げていたが、現在は榊原郁恵に。舞台のハリポタで共演し、その人間性にひかれたという。「お芝居に対してはもちろん、共演者の方への思いやりとか、スタッフさんへの気遣いだったりとかすばらしい。私とかにも気にかけてくださって、よかったよって、声をかけてくださる。そういう姿を見て憧れるようになりました」。ちなみに、高畑とはまだ対面できていないという。

スカウトキャラバンに出場する少女らに、憧れの芸能人を聞くと、深田恭子、綾瀬はるか、石原さとみ、高畑充希らが定番だ。今のホリプロを引っ張っている女性芸能人の代表格がこの4人なのだろう。

佐竹も当初はその4人のうちの1人、高畑の名前を挙げていた。だが、舞台「ハリポタ」で榊原と接するうちに、さまざまな影響を受けたようだ。榊原にしてみれば、佐竹は、娘はもちろん、それも末っ子の娘のような感覚だったのだろう。新人女優に対して、優しく、時には厳しく接してあげたと思われる。

榊原といえば夫の渡辺徹さんを昨年11月に亡くしたばかり。荼毘(だび)に付した後、長男で俳優の渡辺裕太とともに、気丈に会見に応じた姿が記憶に新しい。誰もが思い描く、明るいキャラクターもあったのだろう。悲しい気持ちを抑えて、つとめて、明るく、亡き夫について語ってくれた。それがわかっているからこそ、悲しみが言外から伝わってくる。そして、榊原郁恵というタレントの力量というか、存在感というか、人間性まで感じとることができた。会見が終了した後も、芸能リポーターらとそんな話をしたことを思い出す。

今回、インタビューに答えてくれた佐竹も、天真らんまんな愛らしいキャラクターだ。受け答えの言葉のはしばしからは、素直そうな性格も伝わってくる。

まだ、芸能界ではスタートを切ったばかり。これからさまざまな場面に遭遇すると思うが、その際に大切なものは、最後は人間力だと思っている。そんな大事なものを、榊原から教わってほしいし、身近にそんな先生がいる環境を幸せに思ってほしい。【竹村章】