動物ものまねの江戸家小猫(45)が3月に5代目江戸家猫八を襲名する。このほど、都内で襲名披露会見を行った。

3代目猫八の祖父はドラマ「鬼平犯科帳」シリーズでもよく知られ、4代目の父も時代劇やクイズ番組の司会などで人気だった。

小猫は「自分の知名度はまだまだ。猫八の名前を背負うには早いと思う方もいらっしゃると思います」と謙虚に語った上で「早い段階で背負うことで、自分の名前にしていきたいという決意です」と覚悟を見せた。

江戸家は代々、ウグイスの鳴きまねがお家芸。小猫は、祖父、父から受け継いだ伝統的な動物ものまねだけでなく、ヌー、テナガザル、アルパカといったものまねも人気だ。写真撮影の時には、さっそくテナガザルの鳴きまねを披露してくれた。寄席で聞くのと違って、広い会見場にテナガザルの鳴き声が響き、記者から「おお~」というどよめきが起きるというなんとも不思議な時間で、ほっこりした。

16年に66歳で亡くなった父への思いも語った。「父はいい人生だったと言ってくれましたが、70代、80代になって4代目猫八としてやりたいこと、いろいろな気持ちがある中でこの世を去ったと思う。その思いを自分の中にとどめ、私が父になれるわけではありませんので、自分の色で少しずつ猫八という名前になじんでいただけるよう精進していきたい」とした。

襲名披露興行は、3月21日の上野・鈴本演芸場を皮切りに始まり、各寄席で10日間ずつ、計50日間トリをとる。どんなネタを披露するかについては「動物園で例えるならば、私が園長のような気分で、その日のお客様、のどのコンディションに合わせ『今日はヌーよりもテナガザルかな…』という形でスタメンを選んでいく」と話した。

また、普段はジャケットスタイルだが、10日間のうち2日間は着物で上がる。「着物では動きも制限される部分もありますが、着物ならではの動きも取り入れ、祖父や父がやっていたネタを参考にしながら、私なりにアレンジをしたい」。

襲名後の展望もオリジナルを描いている。小猫は「全国の動物園から猫八襲名記念のイベントをやりたいと要望をいただいています。動物園を回りながらネタを披露していきたい」と明かした。

自他共に認めるまじめさが特徴。どんな質問にも丁寧に丁寧に答え、司会者から「もっとおもしろいこと言っていいんだよ」とツッコまれる場面もあった。動物博士のような雰囲気で、いろんな動物のものまねをやってくれるので、子供人気も期待できそうだ。

将来、6代目に芸をつなぐことについて聞かれると、小猫は「いろいろな可能性をゼロにしたくない」と、さまざまなパターンを想定。結婚については「お付き合いしている方はいるはいる。ただ、跡継ぎありきになるといけないので、温かく見守っていただければ」と、これまたまじめに答えてくれた。【小林千穂】