放送倫理・番組向上機構(BPO)が14日、都内で放送人権委員会の会見を開いた。21年1月28日に放送された日本テレビ系朝の情報番組「スッキリ」(月~金曜午前8時)が同月12日にペットサロンでシェパード犬がシャンプーを受けた後に死亡した件を取り上げたことに対し、申立人が「自ら犬を虐待死させたと印象づけるもので、事実に反する放送により名誉を侵害された」として、申し立てが行われていた。

結論として、委員会は本件放送には人権侵害は認められず、また放送倫理上の問題があるとまでは言えないと判断すると発表。だが、本事案が直接取材を実現すべく、もう1歩の努力がなされることが望ましい事案だったとし、委員会は日本テレビに対し、対象者に対する直接取材の重要性をあらためて認識して今後の番組制作にあたることを要望した。

曽我部真裕放送人権委員会委員長は会見冒頭で「人権侵害の部分は、名誉毀損(きそん)の成否を判断し、名誉毀損にはあたらずと判断しました。放送倫理上の問題は、本人に直接取材をしていない点についてどう評価するか。問題ありとはいえないけど、一定の要望はする」と説明した。

直接取材という概念について、委員会は「直接、遠隔、電話も含めたのを直接取材」と定義。当時がコロナ禍だったこともあり、「取材の種類として(直接と)リモートとは違うとは思うが、リモートでも構わないという判断」という見解を示していた。

日本テレビのコメントは委員会を通じて「重く受け止めて、番組づくりに生かしていきたい」と発表した。