イタリアン「リストランテ アルポルト」オーナーシェフの片岡護さん(74)が陳建一さんへの追悼の意を示した。昨年11月、東京・渋谷で行われたチャリティーイベントで同席したのが最後となった。「13日に息子の健太郎くんからの電話で亡くなったことを知りました。渋谷のイベントでは当初、出席するはずの健太郎くんが都合で来られなくなって、陳さんが代役で緊急出演したんですね。そのときもとっても元気だったから、訃報を耳にして本当に信じられなかった」と片岡さんは振り返った。

1993年10月から始まったフジテレビのバラエティー番組「料理の鉄人」に中華の鉄人として陳さんが登場したときは衝撃だったという。「あんなにしゃべる料理人はいないですから。別にテレビ番組だからしゃべるとかではないんですよ」と話し「私がイタリアン料理協会、陳さんが中華料理協会のそれぞれの会長なのでいろいろな会合で顔を合わせるんです。いつも陳さんは面白い話が止まらないから周囲の人の輪ができる。料理人というよりも落語家みたいでしたね」と笑った。

陳さんはゴルフが大好きで、ゴルフコンペの誘いはスケジュールの調整をつけて出席していたという。片岡さんは「私はゴルフをやらないんですよ」と苦笑いをして「でも、ウチの店にはよく足を運んでいただいて、パスタをもりもり食べていた。ジャンルにこだわらず食べることが大好きで研究熱心でした」と思い返した。

最後に片岡さんは「もうあの陳さんのマーボー豆腐、食べられないんですね。残念だ。日本でこれだけマーボーを広めたのは陳さんの大功績ですもん。健太郎くんに期待したいですね。でも、陳さんのは食べられないのか」とつぶやいて「ご冥福をお祈りいたします」と手を合わせた。