TBSラジオは24日、東京・赤坂の同局で、4月3日にスタートする、斎藤工(41)の朗読番組「朗読・斎藤工 深夜特急オン・ザ・ロード」(月曜~金曜深夜11時30分)記者会見を行い、斎藤と原作者の沢木耕太郎氏(75)が出席した。同番組では、沢木氏の名作「深夜特急」全6巻を斎藤が朗読する。

記者会見に出席するのは20数年ぶりという沢木氏は、「こういう場に立つのは一生に一度か二度。斎藤さん1人で立たせるのはかわいそうなので、単純に付き添いです」とあいさつして笑いを誘った。

自身が旅した80年代から、さまざまなインフラ整備により、旅の仕方は大きく変わった。沢木氏は「インターネット、スマートフォンを持つようになって、自由になったと同時にものすごく不自由になった。偶然を恐れ、偶然を手に入れられなくなった」。さらに「気をつけることは大事。でも一歩出ていくことを恐れないことの方が大事なんじゃないか」と人生哲学とも通じるメッセージを旅人に送った。

自身の書いたものが音声メディアで発信されることについては「何十年と読んでいない。もちろんどういう展開だかは覚えているけど、細かいところは忘れている。自分の文章って何百回と繰り返し読み書きしていて読むのがつらい。だけどもう1回あの世界を味わってみたいと思う。声でやってくれるならめちゃくちゃありがたい。こんなこと書いてあったのか、と知りたい。声によってやっぱり文章が、命というか色というか何か吹き込まれる、彩られるっていう風に少しずつ変容する。僕が書いた『深夜特急』と斎藤さんが朗読してくださった『深夜特急』は違うと思う。お年を召して本を見るのが、老眼でつらくなっている人が僕の知っている人たちでもいっぱいいるわけだから、そういう人たちにとっても耳によって作品が届くのはいいんじゃないかとそう思います」と歓迎した。

同番組は、ラジオとともに、Amazonオーディブルでオーディオブックとしても配信する初の試みとなる。「イケボ」で知られる斎藤が、「深夜特急」の世界へとリスナーを導く。