宝塚歌劇の宙組「カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~」新人公演が28日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、5年目に入ったばかりの大路(おおじ)りせが初主演を果たした。相手役は同期の美星帆那(みせい・はんな)が務め、初ヒロインを務めた。

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スーツにトレンチコート、拳銃やスパイ用具など、小道具も操るジェームズ・ボンド役だ。難役に立ち向かった大路は「トップさん(主演)のライトがすごくまぶしくて、ほんとに真っ白な世界。今までに見たことのない景色でした、この景色、一望できるとは…」と、初々しく振り返った。

今作は、トップ約5年半、完熟期を迎えて退く真風涼帆の集大成サヨナラ公演。その新人公演でセンターに抜てきされた。

「真風さんが今まで積み重ねてこられた男役像。宝塚を代表する“男役の中の男役”ですので、お稽古で(本役の真風を)見ているだけで、その立ち方まで、すべてが、何もかも、勉強になりました」

大先輩の有終作で回ってきた大役。初舞台で配属された当時を思い起こし「最初は、本当に大きく見えた背中でしたが、最後に(新人主演の機会を得て)全力で男役とは-を学ぼうと思いました」とも語った。

大路は19年入団の105期生。172センチの長身と、男役として恵まれた体格を生かし、真風が「ボンド像」を仕上げた今作へ、果敢に挑んだ。

真風からは「何かあったら助けに行くから、絶対大丈夫だから」と言われたといい、無事に幕が閉じると「背中を押していただいて、心強かったです」と感謝した。

初ヒロインの美星も、大路と同じく105期生。美星は「大きな舞台で、同期の大路と歌えて、うれしかったです」。本役のトップ娘役潤花からは「自信をもっていけばいい」とアドバイスされ、本番に臨んだ。

稽古でも、真風に寄り添いつつも、個性を発揮していく潤の役作りに「所作も本当にきれいで頭の先から爪の先まで、学ばせていただきました」と話した。

今作の新人公演は、東京宝塚劇場でも5月18日に控える。

大路は「本日、あらためて多くの課題が見つかりました。東京の新人公演も全力で向き合い、精進して参りたい」。美星は「東京ではもっと成長して姿をお見せできるよう、努めたい」と誓っていた。