第76回カンヌ国際映画祭が16日に南フランスで開幕し、米俳優ジョニー・デップ(59)の復帰作となった映画「ジャンヌ・デュ・バリ-」がオープニングを飾った。元妻で女優のアンバー・ハードへの家庭内暴力(DV)疑惑が原因で映画「ファンタスティック・ビースト」シリーズを降板していたデップにとって、同作は名誉毀損(きそん)裁判で昨夏に勝訴して以来初の出演作。髪をポニーテールにまとめ、サングラスにスーツ姿のデップは、2021年10月のローマ国際映画祭以来約1年半ぶりにレッドカーペットに登場し、集まった大勢のファンから大きな歓声を浴びた。

米メディアによると、会場には「おめでとう、ジョニー」と書かれた復帰を祝うメッセージを掲げるファンもおり、午後7時に会場に姿を見せたデップは約5分間にわたってファンにサインをしたり、記念撮影に応じるなどリラックスした雰囲気だったという。

DV疑惑があるデップの主演作がオープニングに選ばれたことには批判的な意見もあり、論争が起きていたが、上映会には「ファンタスティック・ビースト」でデップから主演を引き継いだ俳優マッツ・ミケルセンや女優ヘレン・ミレンら多くのセレブの姿もあり、劇場に集まった観客からも温かい歓迎を受けたという。上映後は7分間にわたって大きな拍手とスタンディングオベーションが贈られ、感極まったデップが涙する場面もあったと米ピープル誌は報じている。

デップがルイ15世を演じる同作は、自らの知性と魅力を武器に社会的地位を獲得してルイ15世の求愛を受けた公妾(こうしょう)ジャンヌ・デュ・バリ-を描いた物語。デップにとっては、2020年公開の熊本県水俣市で起きた公害病「水俣病」を題材にした「MINAMATA-ミナマタ-」以来、3年ぶりの主演作となる。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)