英王室を離脱したヘンリー王子(38)とメーガン妃(41)夫妻が、16日に米ニューヨークでパパラッチ集団に執拗(しつよう)に追い回されて事故を起こしかねない危険な状況だったと声明を発表して波紋を広げる中、写真を受け取った写真エージェンシーが声明を発表。「無謀な運転をしていたのは王子夫妻の護衛の車の方だった」と反論し、「あわや大惨事」との主張にも異議を唱えた。

ニューヨークで行われた授賞式に出席した王子夫妻とメーガン妃の母ドリアさんが乗った車が、2時間にわたるカーチェイスに巻き込まれ、他の車や歩行者を巻き込んであわや大惨事という状況が複数起きていたと広報担当者が声明を発表し、危険行為があったとパパラッチを非難していた。

現場にいた4人のカメラマンから写真や動画を受け取ったというバックグリッドUSAは、「3人は車、1人は自転車に乗っていた。彼らはヘンリー王子夫妻ら著名人を含むニュース価値のある出来事や人物を取材する職業的な責任があると留意することが重要。授賞式後に夕食に出かける可能性も含め、夫妻のニューヨーク滞在を取材していた」とコメント。いかなる形態の嫌がらせや違法行為は容認できず、「夫妻からの申し立てを真剣に受け止め、この問題について徹底的な調査を行うつもりだ」と述べた。

一方で、夫妻が主張する危険行為については「商売道具のカメラだけを持ち、2人に苦痛や危害を加えるつもりはなかった」と話し、現場にいたカメラマンの報告では「衝突寸前の状況は起きておらず、どの時点でも夫妻に差し迫った危険はなかったと感じている」と否定。夫妻を護衛していた4台のSUVのうち1台が無謀な運転をし、道をふさいで警察に止められる様子が動画に映っていると主張した。

ヘンリー王子は12歳だった1996年に母ダイアナ元妃をパパラッチの追跡が原因の交通事故で失っていることからメンタルヘルスへの影響を心配する声もあるが、父チャールズ国王や兄ウィリアム皇太子から何の連絡もなかったと夫妻の友人で王室専門家のオミッド・スコビー氏はABCニュースに明かしている。また、米Usウィークリー誌もこの件に関して王室にコメントを求めたところ、「コメントをするような事案ではない」と返答があったと伝えており、改めて家族や王室との冷え切った関係を浮き彫りにしている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)