英国のヘンリー王子(38)が今年1月に出版した回顧録「スペア」で過去の違法薬物使用を赤裸々に告白したことを受け、法廷で米国滞在資格について議論される可能性が出てきた。米ワシントンで最も影響力のある保守派シンクタンク「ヘリテージ財団」が王子のビザ申請内容を公開するよう求めていた件で、開示を拒否した米政府を提訴。米CNNなど複数のメディアによると、6日にこの訴訟に関する審理が行われ、米連邦判事が米政府に対してビザ申請内容を法廷で公開するよう命令する可能性があるという。情報公開法に基づいて王子のビザ申請書を開示するよう求めていたヘリテージ財団は、バイデン政権による妨害で却下されたと批判している。

2020年に英王室を離脱して家族と共に米カリフォルニア州に移住した王子は、ビザ申請に際して移民局に過去の薬物使用歴を正直に申請していない可能性が指摘されていた。同財団が5月5日に提出した訴状には、ビザ申請書の開示は「多大な公共の利益がある」と書かれているという。

同財団マーガレット・サッチャー自由センター所長ナイル・ガーディナー氏は、入国資格に影響する内容であるため、記録の開示は国民の関心ごとだとツイートしている。仮に虚偽の申告していた場合、滞在資格が取り消される可能性があると指摘する専門家もおり、場合によっては国外退去の可能性もあるという。

王子は回顧録の中で、17歳の時にコカインを初めて使用したと綴っており、他にもマジックマッシュルームや大麻などの薬物を使用した体験を綴っている。ビザ申請書には薬物使用に関する質問もあり、薬物摂取を理由にビザ申請を拒否されるケースもあると伝えらえている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)