大統領時代の機密文書を持ち出して私邸で保持していた問題で連邦大陪審に起訴されたトランプ前米大統領は、スパイ法に基づく機密文書の不法保持や虚偽陳述、司法妨害、陰謀など少なくとも7件の連邦法違反で起訴されたと複数のメディアが報じている。

このうちいくつかは重罪と見なされ、スパイ法違反では最高10年、司法妨害では最高20年の懲役刑が課せられる可能性があるという。

一方で、トランプ氏は裁判で自身の同意なしにスタッフが文書を誤って保持していたと主張する可能性もあり、トランプ氏が捜査を妨害または影響を与える目的で機密文書を意図的に保持していたと証明するのは困難と指摘する専門家もおり、有罪判決を受けるかどうかは不透明だとの声もある。

トランプ氏は先月出演した米CNNの番組で、「私は文書を好きなように扱う絶対的な権利がある」と述べ、文書を誰かに見せたことがあるかとの質問には明確な回答を拒否。「私が文書を持ち出すと、それは自動的に機密が解除される」と主張していた。

しかし、CNNは先月31日にトランプ氏が任期終了後にイランへの攻撃の可能性に関する国務省の機密文書を持ち出したことを認める録音データが存在すると報道。データそのものは聞いてはいないとした上で、複数の関係者の証言から21年にトランプ氏が機密文書と知りながら持ち出したことを認めていると伝えていた。このデータの存在によりトランプ氏が一貫して主張してきた「機密文書の解除」は疑わしくなり、訴訟を成立させるための重要な証拠の一部となる可能性が浮上していた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)