カンヌ映画祭で男優賞を受賞した役所広司(67)が13日、都内の日本記者クラブで、共演の田中泯(78)とともに会見を開いた。

受賞対象作「PERFECT DAYS」(ヴィム・ヴェンダース監督、日本公開未定)は、ヴェンダース監督が東京・渋谷を舞台に、役所を主演に撮影した最新作で自ら脚本も担当した。製作は、22年5月に東京で開かれた会見で発表された。ヴェンダース監督は、世界的に活躍する16人の建築家やクリエーターがそれぞれの個性を発揮して、区内17カ所の公共トイレを新たなデザインで改修する、渋谷で20年から行われているプロジェクト「THE TOKYO TOILET」のトイレを舞台に新作を製作。そのため、11年ぶりに来日し、シナリオハンティングなどを行った。撮影は全て東京で行った。役所は、東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山を、田中は、平山と奇妙なつながりを持つホームレスを演じた。

製作国は日本で、「ユニクロ」を中心とした企業グループファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長の次男、柳井康治取締役(46)が、プロデューサーを務めた。同氏が個人プロジェクトとして21年に立ち上げた、有限会社MASTER MINDが企画発案、出資、製作、プロデュースを手がけた。同氏にとっても映画初プロデュースとなった作品で、いきなりカンヌ映画祭男優賞を獲得した。また共同脚本・プロデュースに名を連ねる高崎卓馬氏(53)は、電通グループグロースオフィサーでJR東日本「行くぜ、東北」などを手がけたクリエーティブディレクター。一方で小説家の顔も持ち、映画、ドラマの脚本も多数、手がけてきた。映画の脚本は2009年(平21)の岡田将生の主演映画「ホノカアボーイ」(真田敦監督)以来、2作目。

役所は、作品について「『THE TOKYO TOILET』プロジェクトをやっている柳井さんが、最初はショートフィルムというイメージがあったんですけど、ヴェンダース監督が入って長編となった」と当初は短編映画の企画だったと明かした。その上で「今までやったことのない映画、役を与えてもらって、しかも監督がヴェンダース…夢のような仕事でした。なお、カンヌでコンペティションに選ばれ、大きなおまけに主演だ入賞というものをいただきました」と今回の受賞が、望外であると強調した。

そして「この映画、まだご覧になっていないと思いますけど…映画の力を感じさせる映画になっていると思います。見る機会が来たら、応援してください」と呼びかけた。