高層ビルの上で命がけのスタントを行うことで知られるフランス人のレミ・ルシディさんが、香港で危険なスタント中に68階の高層ビルから転落死した。30歳だった。地元警察によると、遺書などはなく、エクストリームスポーツに従事中の悲劇的な事故だと発表している。

米オンラインメディアTMZや英メディアによると、ルシディさんは高層ビルや橋の欄干など世界中の高層建築物の上に登って撮影した映像をSNSに投稿しており、「レミ・エニグマ」のアカウント名で多くのフォロワーを獲得するインフルエンサーだったという。

報道によると、ルシディさんは先月28日に高層住宅「トレグンター・タワー」の最上階に警備員の監視を逃れて忍び込み、撮影中に誤って転落したものとみられている。40階に住む友人に会いに来たと言って建物に入り、その後エレベーターで49階まで行き、そこから最上階まで階段を使って上がったことが確認されているという。

転落の原因は不明だが、同タワマンのペントハウスの窓をたたき、助けを求める姿が最後に目撃されていたとの情報もあり、なんらかの理由で動けなくなり、転落した可能性が高いとみられている。TMZによると、この部屋にいた家政婦が警察に通報したものの、警察が到着する前に転落したという。遺体は建物の中庭で発見され、そばにはカメラも見つかっており、屋上で撮影した映像やその他の命がけのスタント行為も残されていたと伝えている。

ルシディさんは1週間前に、銅鑼湾のタイムズスクエアから撮影した香港の夜景を投稿しており、これが最後の更新となった。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)