普段、お笑い番組を熱心に見ることが少ない記者だが、気になるお笑い芸人ができた。女性芸人日本一を決める「女芸人No.1決定戦 THE W 2023」で初めて決勝に進出した、まいあんつ(34)をこのほど取材した。お笑いの仕事を続ける、その理由を聞いて純粋に応援したいと思えた。
まいあんつは、今のお笑い界では少数派かもしれない女ギャガー。小柄な体からマシンガンのごとく、ギャグを連発する。取材中も質問に答えながら、回答に自然に小ネタをねじこんできた。笑いを誘う口調で話すので、聞き手の記者も途中で“ツボって”しまい、笑いが止まらなくなった。取材を立て直そうとしていると、まいあんつは「こうやって誰かが笑ってくれるのが一番うれしいんですよね」とつぶやいた。吐露してくれた本音、だったと思う。
まいあんつは、25歳でエンターテインメント界の門をたたいた。志した原体験は2つ。保育士をしていた13年当時、女友達3人で「NHKのど自慢大会」に出場した。結果は鐘2つだったが、「見てくれた家族や友達が『めちゃくちゃ元気が出た』と言ってくれて。たくさんのお客さんの前で、何かして笑ってもらえる感覚がすごい気持ちよくて。『わたしって、こっちの人間だ』と思ったのが後押しになりました」。学生時代にバラエティー番組で見たドランクドラゴン塚地武雅のギャグに影響を受けていたこともあり「テレビに出るなら芸人だなと」。その3日後には、勤務先の園長室の扉をノック。退職を伝えた。その後、ワタナベエンターテインメントの養成所のオーディションに応募し合格。15年にデビューした。
話を聞きながら、生粋のエンターテイナー向きな人柄だと思った。印象的だったのは、「THE W」で優勝した場合に獲得できる賞金の使い道について聞いたときだ。1000万円は何に使うのか。「回転ずしとかで値段を見ずに1回食べてみたい。衣装も直したい…」と、細かい願いごとを挙げながらも最後にポツリ。「お世話になった人に恩返ししたいのが一番。お笑いやってるのも自分のためというよりは、誰かが笑っている方を見るのが好きで。アンパンマンかよって(笑い)」とオチ? をつけつつ信念を明かした。
取材後は「ありがとうございました」と屈託ない笑顔を浮かべ、取材会場の出口まで関係者と見送ってくれた。記者は翌日も仕事だったが、帰路に就く足取りがいつもより軽かったのは、その底抜けに明るい性格にたくさんの元気をもらえたからだと感じている。【望月千草】



