「東京2025 世界陸上」を国立競技場で現地観戦する機会に恵まれた。大学で陸上部に入っていたため、当時は関東インカレなど毎年見に来ていた。言ってしまえば走っているのをただ見るだけ。それなのに目頭が熱くなるから不思議だ。

開幕前、女子100メートル障害予選の実況を担当したTBS上村彩子アナウンサー(32)をインタビューした。自身も陸上経験者の上村さんは「せっかくTBSに入ったんだったら世界陸上に関わりたい」と入社1年目から公言していた。17年ロンドン、19年ドーハ大会にリポーターとして参加し「もう夢がかなったというか。2大会で予想を上回るお土産をもらった」と感激。数年後、東京大会で実況というさらなる大役を担った。

「改めて勉強してみて、頭に全部データが入っていないと、すごい記録に対して驚きの声も出ないんですよ。瞬発力、描写力、適応力。いろんな技術が必要ですよね」。見たものを即興で、感情を込めて分かりやすく伝える。その難しさを聞くにつけ、AIではできない仕事だなと感じた。

スポーツ情報番組「S☆1」を5年間担当し、競技を予習する習慣もついていたのだと思う。寝る時間を削って準備したそう。「好きな陸上だから頑張れたのかなと思います」とも言っていた。

100メートル障害予選放送後、SNS上には「素晴らしい挑戦だと思う」「(女性の声の実況を)聞き慣れていないだけ」などさまざまな感想が並んだ。反響の大きさが、挑戦の大きさを物語っていた。

健康美人な上村さんに、健やかさを保つ秘訣(ひけつ)を聞いてみた。

「でもやっぱり運動ですかね。体力つける意味もあります。あとは精神を鍛えるためもありますし。大人になるための。部活の時みたいな肉体的にきついことをやらなくなっちゃってるので、心と体のために運動を続けてます」

「走る」ほど、誰もがしたことのあるスポーツはない。だから奥深い。1時間くらい話していたが「陸上、おもしろいですよね」という結論で締まった。上村さんたち女性アナウンサーの挑戦もうれしいし、今大会で陸上ファンが増えたらなおうれしい。【鎌田良美】