ベテラン漫才師のすごみを見せてもらった。
38周年を迎えた“笑いの殿堂”なんばグランド花月(NGK)では今月、「なんばグランド花月 豪華スペシャル月間」と題し、豪華週替わりキャンペーンを展開中だ。
吉本興業もPRに力が入っている。出番のある芸人がNGK正面入り口に現れ、週替わりでオープンの取材会を実施。1週目は西川きよし、酒井藍、島田珠代、2週目に起用されたのが、オール阪神巨人とすっちー、吉田裕だった。
スポーツ紙の狙いは巨人。取材日の数日前に始動した「ダウンタウン+」の感想なども聞ければという雰囲気だった。
ところが、ふたを開ければ巨人が不在。連絡に不備があったらしい。阪神によると、巨人の遅刻は初めてだという。
会見は巨人不在のまま進行。阪神は「大渋滞でね。ホンマは来てるけど、小さいから見えてへんのかも」などと理由を明かした。
NGKの初舞台で「電車ネタをやったんですけど、おもろないから缶ジュースを投げられた」「当時の劇場は入れ替えがないから、布団持ちこんで1日中寝てる客もいた」などとエピソードを披露。「ホンマですか?」と驚く吉田裕に「布団はウソ。芸人のしゃべることなんてウソやん」と笑い飛ばした。
脳梗塞を経験したり、メニエール病を抱えるなど年相応に痛いところも出てきたとは言いつつも、相方の不在を埋めるかのようにマシンガントークで場を盛り上げた。
ところが、MCの笑い飯から締めの言葉を求められたところで一変。「大渋滞ね…。多分、今家を出たと思います」と暴露し、「そんなもん、渋滞でごまかすかいな。スタッフも『絶対に来ないって言わないでください。引っ張って引っ張ってください』と。そんなもん、誰が渋滞で収めるかい!」。
哲夫は「あー、言っちゃった」と大笑いし、すっちーも「全部言うてますで」とあきれたが、阪神は「吉本(が悪いん)やない。忘れとったんや、相方が。俺やったら、えらい目におうてる」とぶちまけた。
さらに、38周年PR会見についても「ここ(NGK)の宣伝、皆したないねん。1回(西川きよしが)やってる。十分や。タレントが変わってるだけで、(記者も)義理で来てる」などとぶっちゃけ。
「(会見自体)したないねん。きよし師匠と(中田)カウス師匠と(桂)文枝師匠と、1回でまとめてやったらええねん。はっきり言うて、俺は迷惑や。言うちゃ悪いけど、38周年なんて中途半端やし」とボヤキ倒し、関係者を困らせて爆笑の渦にまいた。
M-1グランプリの審査員を長年務めたことなどから、全国的には巨人の方が目立つコンビかもしれない。2人を取材をしていても、巨人がメインでしゃべり、阪神は一歩引いた印象もあるが、関西で長年育った身としては、阪神の多彩なものまねや「車にポピー」のCMは印象に残っている。
今年でコンビ結成50年。若い頃は5歳年上の巨人が、阪神が道を外さないよう厳しく指導したため、阪神も反発。巨人は「どこの漫才師もそうですけど仲が悪かった」と振り返っている。
それでも、阪神の離婚や再婚、借金などもあってコンビを継続。お互いに家庭を持ってからは仲も良くなり、「他人ですけど、兄弟家族以上に一緒にいてる時間が長い」(巨人)とコンビ愛は深い。そうした背景もあっての阪神の絶妙な相方イジりだった。
大爆笑をさらった阪神は「俺、1人でもオモロイやろ?」とニヤリ。巨人不在の理由を「大渋滞」で押し通しても、道行くファンは誰も気にも留めなかっただろうが、お茶を濁すことなく完全に笑いに昇華させた。
「ダウンタウン+」の感想は、また巨人を取材する機会に聞けばいい。改めて芸人オール阪神のすごみを感じさせてもらえた取材会だった。【阪口孝志】



