第38回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞が28日に発表され、黒川想矢(16)が石原裕次郎新人賞に輝いた。「国宝」で主人公の少年時代を、「この夏の星を見る」では等身大の中学生を演じた。最年少受賞、初の満票選出で、今年で最後となる同賞を記録ずくめで飾った。
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最年少受賞に加え、満場一致で選出が決まった。黒川は「いすから跳び上がるくらい、『やったー!!』とうれしかったです」と言いつつ、「僕でいいのかなと思いました。ものすごくうれしい半面、とても責任を感じました」と謙虚に語った。石原裕次郎新人賞が最後になると聞くと「本当に僕でいいんですか。選んでくださってありがとうございます」と笑顔を見せた。
裕次郎さんのことは、事務所を率いる舘ひろしからよく話を聞いている。「立っているだけでスクリーンを支える力がある、と教えてくれます。映画を拝見すると本当にオーラを感じます。裕次郎さんのように優しくて強くて大きい人になれるよう、頑張っていきたいです」と話した。もちろん舘にも報告済みで「『すごいなあ!!』と喜んでくれました」。
「国宝」では、任侠(にんきょう)の一家に生まれ歌舞伎の才能を花開かせる主人公、喜久雄の少年時代を演じた。李監督の現場は「毎日が本当に刺激的」だったが、撮影当初は「歌舞伎について本当に何も知らなかったですし、日本の大切な伝統文化を伝えることも怖かった」。日本舞踊には苦戦したが、稽古を重ね「体に染み付いていくと無心になれるんです。演技をしている感覚と似ている感じが楽しかった」と話すまでになった。
撮影で一緒になることがなかった主演の吉沢亮とは、宣伝活動などで交流を深めた。「『自分の言葉で話そうとする姿勢が好きだな』と言ってくださいました。語彙(ごい)力がなくて、うまく言葉にできない感覚がずっとあったんですが、それでもいいんだよと言ってもらえたようで、すごくうれしかったです」。
天体観測でつながった中高生を描いた「この夏の星を見る」では等身大の少年を演じ、幅広い演技ができることを見せた。23年、是枝裕和監督の「怪物」で話題になった。注目されプレッシャーを感じることがあったのか聞くと「演技ができることが幸せ、という気持ちの方が大きいんです」とまっすぐに語った。【小林千穂】
◆黒川想矢(くろかわ・そうや)2009年(平21)12月5日、埼玉県生まれ。5歳からCMなどに出演。21年にNHKBSプレミアム「剣樹抄~光圀公と俺~」で舘ひろしとの共演がきっかけで舘プロ入り。23年「怪物」で映画デビュー、ブルーリボン賞新人賞など。ほか映画は「BISHU~世界でいちばん優しい服~」「【推しの子】-The Final Act-」などに出演。特技はキックボクシング。趣味は写真。
◆この夏の星を見る 辻村深月の小説を実写化。高校生の亜紗(桜田ひより)はコロナ禍で失われた夏を取り戻すため、望遠鏡で星を捉える「スターキャッチ」開催に奔走。東京の真宙(黒川)ら、全国の学生たちがオンラインでつながり、コンテストに参加する。
◆昨年「カラオケ行こ!」「室井慎次 敗れざる者」などで石原裕次郎新人賞の齋藤潤(18) 石原裕次郎新人賞受賞おめでとうございます。自分と向き合い、正直に生き続ける想矢くんは、きっとおごることなく、この名誉ある賞と共に前進されると思います。想矢くんのお芝居や、生きざまに勇気をいただいている1人として、さらなるご活躍を期待しております。
◆石原裕次郎新人賞 1987年(昭62)に亡くなった、戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、日刊スポーツ映画大賞に併設。石原音楽出版社が運営に全面協力。裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな、映画デビュー5年以内の新人に贈られる
■石原まき子氏「未成年とは思えぬ色気醸し出す」
石原裕次郎新人賞を受賞された「黒川想矢」さん。映画賞の審査会議では、該当者なしの年もある中、今回は初の審査員「満場一致」で選ばれました。国宝での、あどけない表情から、踊り始めると未成年とは思えぬ色気が醸し出されて、画面の中の彼を自然と目で追ってしまう。「演技は苦しくて悩むこともあるけれど、楽しい。楽しいという気持ちを大切にしたい」。そんな真摯(しんし)な向き合い方が演技にも生きているのでしょう。
宇宙工学にも興味があり、「この夏の星を見る」の出演に喜んだとか。未知なる可能性を秘めた、魅力あふれる青年の今後の活躍がますます楽しみです。最後になりましたが、受賞者の皆さまのさらなるご活躍、映画界のさらなる発展をお祈りいたします。
石原音楽出版社
取締役名誉会長
石原まき子



