生後間もなく聴力を失い、東京・銀座のクラブでNO・1ホステスに成長するまでをつづった自叙伝「筆談ホステス」がベストセラーになった斉藤里恵さん(26)が、6月末に米ハワイで女児を出産していたことが18日、分かった。ハワイは障害者にも優しい地域と聞き、選んだという。外国で1人で臨んだ出産をつづった新著では、妊婦ヌードも披露する。

 病気で聴力を失い、ペンとメモ帳で会話する「筆談」で、銀座の人気ホステスとなった斉藤さんの妊娠が分かったのは昨秋だった。相手は40代の会社員だったが、妊娠が分かったのは彼と別れた直後。斉藤さんはシングルマザーとなる決意をした後の今年1月、彼に妊娠を報告した。

 1人で産む決意をした当初から、斉藤さんは海外での出産を望み、障害者にも優しい地域での出産をと考え、ハワイを選んだ。初産であることから、ハワイでの出産は多くの人に反対されたという。それでも「娘がおなかの中で『海外で生まれたい』と伝えてくるので、娘のためなら何でもできる、どこでも行けると思い、これが初めての母性だったのかもしれない」と振り返った。

 6月25日に無事、2645グラムの栄万(えま)ちゃんを出産した。「本当に奇跡のような幸せを感じた」という斉藤さんだが「子どもの泣き声に気づいてあげられるかどうか、すごく不安でした」と障害に対する不安は消えなかった。しかし「周囲の音を感知して、文字と振動で伝えてくれる腕時計のような機器を見つけたので、私でも気づいてあげられるので助かってます」と前向きに過ごしているという。

 「別れた彼との結婚は考えていない」。斉藤さんの決意は固い。だが、現時点では父親である元彼の協力を得た生活も視野に入れ「愛情を受け入れ、私たち3人なりの新しい形を作っていくことになるかもしれません」とつづっている。

 また、斉藤さんは23日に発売される新著「筆談ホステス

 母になる

 ハワイより61の愛言葉とともに…」(光文社刊)では妊婦ヌードも披露している。「どんなに栄万の誕生を楽しみにしていたか、この写真1枚で伝わると思います」と話している。

 [2010年7月19日6時43分

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