結成60年の男声コーラスグループ「ダークダックス」の高見沢宏(たかみざわ・ひろむ)さん(本名同じ)が7日午後1時53分、心不全のため神奈川県藤沢市の自宅で亡くなった。77歳だった。通夜は10日午後6時、葬儀は11日午前10時半から藤沢市藤沢493のカルチャーBONDS藤沢で行われる。喪主は長男尚樹(なおき)さん。

 「黒いアヒル」という意味のダークダックスは51年に慶大の男声合唱団「ワグネル・ソサィエティー」所属の佐々木行(78、愛称マンガ)喜早哲(80、同ゲタ)遠山一(80、同ゾウ)の3人で結成。高見沢さんは翌52年にテノール担当で参加し4人となり、パクさんの愛称で親しまれた。

 97年に佐々木が一過性脳虚血発作で倒れて療養生活に入った後は3人で活動したが、高見沢さんは昨年3月から体調を崩し入退院を繰り返した。担当して40年以上のマネジャーによると「昨年末に見舞った時は起き上がって会話できたが、年明けに自宅を訪れた時は『足が痛い』と言って顔色も悪く、容体の急変に驚いた」という。高見沢さんの妻は萬屋錦之介の実妹で、中村獅童はおいにあたる。

 ダークダックスは抜群のハーモニーと品の良さが愛され、ロシア民謡、童謡など幅広いジャンルを歌いこなした。57年に「ともしび」がヒットし、58年にNHK紅白歌合戦に初出場。71年まで14回連続出場し、76年に15回目出場を果たした。ヒット曲は「雪山讃歌」「北上夜曲」「山男の歌」「銀色の道」など多数、旧ソ連(ロシア)米国など海外でも公演を重ねた。4人そろって芸術選奨文部大臣賞を受賞、93年に紫綬褒章を受章した。87年にはメンバーが変わらない最長コーラスグループとしてギネス世界記録に認定された。

 ◆高見沢宏(たかみざわ・ひろむ)1933年(昭8)11月9日、静岡県沼津市生まれ。52年慶大経済学部に入学し、ダークダックスに参加してテノールを担当。連携のとれた歌唱力で人気を集め、昭和を代表するコーラスグループとなった。紅白歌合戦には76年を最後に通算15回出場している。

 [2011年1月9日7時39分

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