デビュー4年目の歌手ふくい舞(26)が、新曲「いくたびの櫻」の発売イベントを、日本で一番早く桜が咲いた沖縄・今帰仁(なきじん)城跡の「桜まつり」で開催した。今後は、史上初の試みとして、桜前線の北上とともに全国でPRイベントを展開。NHK土曜時代劇「隠密八百八町」の主題歌として話題の桜ソングが、満開ヒットとなるか、注目される。

 沖縄の寒緋桜(かんひざくら)が咲きほこる古城跡で、ふくいが、新曲バラードを歌いつづった。「これから全国各地の桜の下で歌っていきたいと思っています」。

 3月19日に本土の最南端・鹿児島に上陸し、約2カ月かけて桜前線とともにPR活動で北上する。最後の北海道・札幌まで全国20カ所でのイベントを計画中。ふくいは「きっと誰もやったことない新曲キャンペーンですよね」と、楽しみを抑えきれないように、声を弾ませた。

 楽しみいっぱいの全国行脚だが「いくたびの櫻」は、デビュー4年目にしてつかんだ、切ない情感のこもる勝負曲だ。「日本人にとって桜は特別で、皆さんにもそれぞれに思い出があると思います。桜を見ながら、大切な人を思い出してもらえる歌に育てていきたいです」。

 ふくいにも、歌唱中に思い出す光景がある。8年前の高校卒業式時に、同級生の親友と見た地元京都の鴨川の桜だ。夢を語り合ってきた親友だったが、デビュー前に病で亡くなっていた。「初めはつらかったけど、3年たった今でも寂しいと思えるほどの大親友と、私は出会えたんだと考えると、前向きになれます。(彼女の分も)毎年、このきれいな桜を見たいし、この歌を歌っていきたい」。

 昨年は、亡き祖母への思いを歌った植村花菜の「トイレの神様」が、“泣き歌”としてヒットしたが、似たテイストのバラードだ。世界遺産・今帰仁城跡の観光客の60代男性にも「お~、この曲、毎週時代劇で聴いてる。いい曲だよ、お姉ちゃん!」と感激され、握手と記念撮影を頼み込まれていた。

 ふくいは「生の感想が聞けて最高です。1人でも多くの方々の心に花を咲かせたい。花咲か姉さんのつもりで歌っていきます」と、期待の花を胸に満開に膨らませていた。【瀬津真也】

 [2011年2月6日8時24分

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