歌舞伎俳優市川海老蔵(33)が昨年11月に暴行を受け重傷を負った事件で、傷害罪で起訴された元暴走族メンバーの伊藤リオン被告(27)の初公判が18日、東京地裁で開かれた。検察、弁護側の双方が、事件前に海老蔵が元暴走族リーダーらに執拗(しつよう)に酒を勧め、挑発行為もあったことを認めた。

 伊藤被告はやや肩をいからせて入廷すると、視線を下に落とし淡々とし、質問にはやや高い声で「はい」とはっきり答えた。

 検察からは、米国人の父と日本人の母の間に生まれたこと、Jリーグの東京Vユースに昇格したもののコーチとの人間関係に疲れて退団し、99年ごろに元リーダーと出会い暴走族に入ったことなどが明かされた。さらに逮捕歴が9回、うち前科が1犯あり、05年10月15日に傷害罪で懲役2年6月執行猶予5年の刑が確定し、今回の事件が執行猶予期間明けだったこと、また今回の事件現場と同じビルで以前にも傷害事件を起こし、被害者との間で示談が成立したことも明かされた。

 伊藤被告は閉廷の際、元リーダーを振り返り一礼してから退廷した。