12日に都内の自宅マンションで首をつって亡くなったタレントの上原美優さん(本名・藤崎睦美、享年24)の通夜が14日、故郷の鹿児島県中種子町(種子島)内の斎場でしめやかに営まれた。「家族だけでおくりたい」という遺族の意向で、タレントの参列や供花を辞退。近親者だけでひっそりと行われた。この日、種子島入りした上原さんの遺体は実家に直行。大家族水入らずで通夜までのひとときを過ごした。

 上原さんの遺体は14日早朝、鹿児島県内に住む姉の自宅を出発。同日正午すぎに父親久男さん(79)ら親族に付き添われ、フェリーで故郷・種子島に到着した。

 種子島には遺体となって戻った同島出身者を、親しい人たちで出迎える風習がある。フェリー発着所には親族、地元の友人らが上原さんの到着を見守った。上原さんのひつぎを乗せた霊きゅう車の助手席には久男さんが座った。花を抱えた久男さんは、車中から娘を迎えてくれた人々に頭を下げた。

 上原さんの遺体は、フェリー発着所から思い出が詰まった中種子町の実家に直行した。上原さんは10人兄妹の末っ子。大家族貧乏アイドルとしてブレークした。長兄と28歳も年齢が離れ、十数回しか会ったことがない兄姉もいる。10人兄妹が全員そろったのは、昨年3月に亡くなった母親イチ子さん(享年65)の葬儀が初めて。末娘の死という悲しい形で再び兄妹全員が集まった。大家族は約2時間ほどのわずかの間だが、末娘を囲み、実家で水入らずで過ごした。

 通夜及び葬儀・告別式は近親者で営まれる密葬形式。上原さんの所属事務所によると、参列を希望する複数のタレントから問い合わせがあったという。だが遺族は「家族だけで送りたい」との強い意向で、タレントの参列や供花は丁重に辞退した。上原さんと交際中で死の直前まで一緒だった一般男性(26)も参列しなかった。人数は公表されなかったが、親族、小・中学時代の同級生ら約50人が参列したものとみられる。

 喪主を務めた久男さんは涙を見せず、気丈に振る舞った。姉ら女性の親族は何度も目にハンカチを当てていた。遺影は09年に発売した自叙伝用に撮り下ろした写真から、遺族が笑顔の上原さんを選んだ。

 通夜の終わりに、長兄の「よかったら、顔を見てやってください」という呼び掛けで、参列者が1人ずつ上原さんと対面。ある参列者は「今にも起きるんじゃないかと思うほど、きれいな顔でした」と話した。

 今日15日に葬儀・告別式が営まれる。