六十の手習いとは、まさにこのことか。元ピンキーとキラーズで歌手の今陽子(60)が今年春からフェイスブックにはまっている。パソコンすら敬遠しがちな世代だが、「この年齢になって勉強することが増えました。脳の活性化にもつながります」と楽しみながらキーボードを打っている。この気持ちをより多くの同世代に味わってほしいという動機で、大人のフェイスブックの楽しみ方を自分なりに説いた著書「60歳からのフェイスブック

 ~今からはじめるソーシャルライフ~」(マイナビ新書)を23日に発売する。

 アナログ人間だったが、6年前に、パソコンとインターネットを始めた。「キーボードが打てず、相当練習しました。分からないことがあったら、家電販売店などに電話をしまくりました」。パソコンを活用するようになったが、若者を中心に急激に広がり始めたソーシャル・ネットワーキング・システム(SNS)は「自分のプライベートページが不特定多数の人に見られる」などの理由で、抵抗感があった。ところが、昨年3月、親友でロック歌手の桑名正博(59)がフェイスブックを使いこなしている姿を見て興味を持った。「ライブ写真に、100人もの人がコメントを寄せていた。自分の知らない人ともつながっていた」。刺激を受け、フェイスブックに対する見方が一変した。1年後の今年4月、フェイスブックを始めた。「60歳なんて若い。人生これから。同世代の人は、パソコンができないと最初から決めつけている。まずは好奇心を持って、恥を捨て、何でも聞くことです」。現在ではフェイスブックの「友達」は782人。中には18歳もいる。スマートフォンも持ち歩き、「グーグルマップ」に仕事場の住所を入力した上で、「1人で電車で現場に行ってます」と実生活に役立てている。還暦を過ぎても、若々しくデジタルライフを楽しんでいる。【三須一紀】

 ◆今陽子(こん・ようこ)本名・今津陽子。1951年(昭26)11月1日、愛知県生まれ。67年にシングル「甘ったれたいの」で歌手デビュー。68年結成の「ピンキーとキラーズ」にボーカル、ピンキーとして同年シングル「恋の季節」がオリコン17週連続1位を記録、約270万枚を売り上げた。以降も「涙の季節」「七色のしあわせ」などがヒット。72年からソロに転向した。