演歌歌手小林幸子(58)の34回連続NHK紅白歌合戦出場の可能性がなくなったことが22日、分かった。今年は個人事務所をめぐる騒動が勃発して、レコード会社との契約も解除。自主レーベルから今月17日に新曲を発売も、29日付オリコン週間ランキングで、初週売り上げが1890枚だったことがこの日、判明した。出場へのいちるの望みだったアピールポイントも不発となり、NHKの出場候補者リストから、名前が消滅した。

 お家騒動が契機となり、話題になった新曲「茨の木」は、オリコン週間チャートの演歌・歌謡部門では2位にランクインした。総合では38位。だが、売り上げ枚数は、1890枚にとどまった。前作「おんな酒場」の初週売り上げ1542枚を上回っているとはいえ、ここまでトラブル続きだった小林の「最後の大勝負」にしてはアピール不足。同時にNHKの紅白出場候補リストからも漏れたことが、関係者への取材で判明した。

 落選理由は、大きく分けて3点あった。まずは、4月に表面化した個人事務所のトラブルだ。30年来を共にしてきた前社長らとの関係を悪化させて、マイナスイメージで世間をにぎわせた。スキャンダルを嫌うNHKとしては、騒動の行く末を見守ってきた形だが、いまだ円満解決に至らなかったことは大きい。

 2点目は、その余波で、日本コロムビアとは契約を解除。自主レーベルで新曲発売にこぎつけたが、ヒットとはいかずに、アピールポイントにならなかった。

 3点目は、ほかの演歌・歌謡歌手の活躍だった。過去何度も紅白に出場していながら、近年は落選していた実力派歌手たちが、今年になって再ブレークしている。07年以来出場のない香西かおり(49)は「酒のやど」が5万枚以上をセールス。10年以上出場のなかった由紀さおり(63)は、米国のジャズ楽団「ピンク・マルティーニ」とのアルバム「1969」が世界中でヒット。トラブル続きだった小林とは対照的に、出場枠を競うライバル歌手たちの勢いをNHK側は重視していた。

 小林は、恒例の巨大衣装も、対決相手の白組美川憲一(66)が一昨年に落選してからは、注目度が低下。アピールポイントが紅組歴代1位の33回連続出場の記録だけでは、さすがに苦しかった。NHKの担当者は、4日の定例会見で選考について「今年の活躍、世論の支持など(を参考に)どんな方に出ていただくか検討しています」と話していた。まだ、ほかの歌手にも正式オファーは出していない状況だが、他の歌手の辞退でもない限り、小林の出場の芽は絶たれた。