<第63回NHK紅白歌合戦>◇12月31日◇NHKホール

 初出場のSKE48が華麗なパフォーマンスを見せた。

 もうAKB48のバックダンサーではない。62人が一糸乱れぬダンスを披露し終えると、松井珠理奈(15)は「うまくいきました!」と堂々の成功宣言。緊張のステージを降りると誰もが肩を震わせて号泣した。

 結成5年目。念願の単独出場だった。過去3年の紅白はAKB48の後ろで踊る引き立て役。一昨年11月の歌番組では通路で踊らされた。同じころ紅白も落選。失意のどん底だった。

 くじけそうなメンバーを救ったのは、AKB48の選抜でも活躍する松井玲奈(21)だった。「立ちたいステージがあります。AKB48として立った場所、それ以外の憧れの場所。全部SKE48で」。内気な性格の殻を破り、ファンやメンバーに目標を公言した。「頑張ればSKE48も立てると伝えたかった」。士気を高め、意識をテレビの中へ向けさせた。

 この日、歌った「パレオはエメラルド」は、あの通路で歌った曲。「通路ダンサー」の悔しさを知ったからこその笑顔を全国に向けて輝かせた。【森本隆】