歌手宇多田ヒカル(30)が26日、自らの公式サイトで22日の母藤圭子さん(享年62)の飛び降り自殺後、初めてコメントし、「彼女は精神の病に苦しめられていました」と明かした。藤さんの元夫で宇多田の父、音楽プロデューサー宇多田照実氏(65)も、宇多田のサイトを通してコメントを発表。宇多田が5歳のころから藤さんの感情の変化が激しくなり、照実氏、宇多田も攻撃の対象になっていたことを明かした。

 藤さんが、長く闘病していたことを宇多田と照実氏が発表した。この日、自身の公式サイトで「様々な憶測が飛び交っているようなので、お話をさせてください」と切り出し、「長い間、精神の病に苦しめられていました」と明かした。父照実氏も同じサイトで、宇多田が5歳のころから藤さんの感情の変化が著しくなり、照実氏、宇多田、実母さえも、攻撃の対象になったことなどをつづった。

 しかし、藤さんは照実氏らが勧める病院での治療を拒否したという。宇多田も「どうしたらいいのか、何が彼女のために一番良いのか悩んでいました。症状の悪化とともに、家族も含め人間に対する不信感は増す一方で、自身の感情や行動のコントロールを失っていきました。私は翻弄(ほんろう)されるばかりで、何も出来ませんでした」と苦しい胸の内を明かした。照実氏は「本人が拒絶し続けた治療が成されないまま、苦しみは年を追うごとに重症化したものと思われます」と振り返った。

 さらに母の自殺について、宇多田は「母が長年の苦しみから解放されたことを願う反面、彼女の最後の行為は、あまりに悲しく、後悔の念が募るばかりです」と戸惑う思いを吐露。それでも「笑うことが大好きで、頭の回転が早くて、子供のように衝動的で危うく、おっちょこちょいで放っておけない、誰よりもかわいらしい人でした。悲しい記憶が多いのに、母を思う時心に浮かぶのは、笑っている彼女です。母の娘であることを誇りに思います」と記した。大好きで歌手としても尊敬してきた母親への思いをここに込めた。

 この12年間、藤さんは世界各地への旅を繰り返したという。宇多田と照実氏に昼夜を問わず「元気?」と電話が入ることもあれば、理由のない罵声を浴びせられることもあったとし、藤さんから照実氏への最後の電話は亡くなる8日前の8月14日と明記。珍しく明るい口調で約8分間、世間話を含め、願いごとを何件か受けたという。照実氏は「覚悟の上での投身自殺だったのか、衝動的に飛び降りてしまったのか、今となっては知りようがありません。最終的に僕から救いの手を差し伸べられなかった悔しさ、大切な人間を失った悲しさでいっぱいです」と無念の思いを記している。