<NHK紅白歌合戦リハーサル>◇29日◇NHKホール

 初出場の泉谷しげる(65)は、ステージ上でバックバンドの演奏ミスに激怒するなど、早くも大暴れを始めた。

 泉谷はステージに登場するや、「やるか、しょうがないから」と毒舌を吐き、「春夏秋冬2014」を歌い始めた。そして、事件は起こった。

 「コラー、コラー。やるんじゃねえ、バカ」

 鬼の形相でドラム担当者に詰め寄った。何が起こったか分からない会場は騒然。理由は、泉谷がアカペラで歌うつもりだったサビの部分を、ドラムが演奏してしまったからだ。

 泉谷は再び歌い始め、音合わせが終了すると「やめた」と言ってステージを後にした。10分後、カメラリハーサルで再登場すると、「面倒くせえな」とひと言。今度は演奏もうまくいったが、スタッフにギターを投げ渡すなどして怒りをあらわにした。

 一方で、その後の会見では、穏やかな表情で泉谷節を展開。ドラム奏者のミスについて「バカですよね。楽器をいかに減らすかを考えていたので。余計な合唱も迷惑、手拍子もじゃまくさいし」。奏者が、生のステージに慣れないレコーディング用のバンドだったことも明かし、「気合が入っちゃってんだよ。NHKだから。『ここはテレ東だと思え』と言いたい。あがっちゃったんだね」。気遣いも込めた指摘だったが、ドラム奏者はしょんぼりNHKホールを後にした。

 泉谷は歌手歴42年目にしての初出場。これまで紅白に「何の興味もねえ」と語っていたが、昨年の紅白で歌った美輪明宏の存在と、「自分の歌で、弱い立場の年配者が喜んでくれるなら」と出場を了解した。年寄りが格好良くあってほしいというのが願いで、この日も「テレビの向こう側に1人寂しくしている人もいる。会場の人には歌わない。拒否。被災地で寒い思いをしている人にがんを飛ばす。こんなやかましいオヤジを出していいのかとなったらいい。違和感を出したい」と宣言した。