女優堀北真希(26)が、松本清張氏原作のテレビ朝日系スペシャルドラマ「松本清張

 ~霧の旗」(今冬放送)で悪女に挑むことが5日、分かった。何度も映像化され、数々の名女優が演じてきたヒロイン柳田桐子に、堀北が新たな魅力を加える。

 「霧の旗」は、清張氏の代表作の1つ。ヒロイン桐子の魅力もあり、これまで何度もドラマ、映画化された名作だ。高額な弁護料を払えなかったため、殺人者の汚名を着せられたまま死んだ兄(今回のドラマでは弟の設定)のため、有名弁護士に復讐(ふくしゅう)する物語だ。復讐にひた走る桐子は悪女でもあり、いちずでもあり、演じるには難役と言える。

 これまで倍賞千恵子、大竹しのぶ、山口百恵さんらが桐子を演じてきた。多くの名女優が演じてきたことについて、北九州で撮影中の堀北は気負いなく話した。「プレッシャーは感じようと思えば感じられますが、余計なことは考えないようにしました。私なりの桐子にできたら」。

 原作小説は1961年(昭36)の出版だが、ドラマは舞台を現代に移した。しかし、作品の芯は堀北もしっかり感じている。「百恵さんの作品を見て、何が悪なのかを考えました。(弁護を断った)弁護士さんは本当に悪なのか、桐子は悪なのか…。現代バージョンに置き換えてはいますが、テーマは引き継いでいると思います」。

 北九州市では、桐子が弟とつつましく暮らしていたころのシーンなどが撮影された。食品加工工場に通っている設定で、若戸渡船のフェリーでも撮影した。堀北は「桐子の原点、大事にしていた日常を実感でき、東京で活躍している弁護士さんに助けを求める感覚をつかめました」と、役作りの助けになったとした。

 悪女とされる桐子について「体当たりすぎてちょっと怖い女性だと思います」としながらも、「外見も内面もすごく変化していく。1人の女性がここまで大きく変わるのを見るのは楽しみ。演じ終えて手応えを感じています」。清純派のイメージが強いが、悪女は11年の映画「白夜行」で1度演じている。3年の時をへて、今度はドラマで鬼気迫る。【小林千穂】

 ◆「松本清張

 ~霧の旗」

 食品加工工場で働き、知的障害を持つ弟と暮らす桐子(堀北)。ある日、弟が近所の女性を殺した容疑で逮捕される。桐子は高名な大塚弁護士に助けを求めるため上京する。しかし、多忙な上、愛人との旅行が目先にあった大塚弁護士は、弁護料が高額なことを伝え断ってしまう。桐子は「貧乏人は救われんのですね」と言い残して去る。