創設4年目を迎えたG1サウジカップ(キングアブドゥルアジーズ、ダート1800メートル)をメインとするサウジカップデーが25日土曜に行われます。昨年は日本馬が6つの重賞のうち、4つに優勝。改めて日本馬強しを世界にアピールする結果となりました。今年も日本での馬券発売はありませんが、メインのサウジカップをはじめ、興味深いレースが続きます。


サウジカップには日本から6頭が参戦します。その顔ぶれは昨年と一昨年のG1フェブラリーSの覇者で、G1南部杯優勝のカフェファラオ(牡6、父アメリカンファラオ、美浦・堀宣行厩舎、ジョアン・モレイラ騎手)、G1チャンピオンズカップを差し切ったジュンライトボルト(牡6、父キングカメハメハ、栗東・友道康夫厩舎、ライアン・ムーア騎手)、昨年の皐月賞馬でダート初挑戦のジオグリフ(牡4、父ドレフォン、美浦・木村哲也厩舎、クリストフ・ルメール騎手)、昨年のG1ドバイターフを逃げ切ったパンサラッサ(牡6、父ロードカナロア、栗東・矢作芳人厩舎、吉田豊騎手)、昨年のG2UAEダービーの優勝馬で、ケンタッキーダービーにも参戦したクラウンプライド(牡4、父リーチザクラウン、栗東・新谷功一厩舎、ダミアン・レーン騎手I、それに7歳にしてダート初挑戦となるヴァンドギャルド(牡7、父ディープインパクト、栗東・藤原英昭厩舎、ミカエル・バルザローナ騎手)。対する外国馬の内訳は地元サウジアラビア調教馬4頭、米国から2頭、UAEから1頭の計13頭となっています。


米国からは西海岸を本拠にするボブ・バファート厩舎のカントリーグラマー(牡6、父トーナリスト)とテイバ(牡4、父ガンランナー)が出走します。カントリーグラマーは昨年のサウジカップに遠征し、エンブレムロードの2着。その後、UAEに転戦してG1ドバイワールドカップに優勝しました。帰国後は4戦して1勝、2着3回。9月のG1パシフィッククラシックステークスは怪物フライトラインに大きく離された2着でしたが、シーズン最後となった12月のG2サンアントニオステークスはランフランコ・デットーリ騎手を鞍上に後続を4馬身半ちぎりました。もう1頭のテイバは昨年デビューして7戦4勝。G1サンタアニタダービー優勝から臨んだG1ケンタッキーダービーは12着でしたが、9月のG1ペンシルベニアダービーで、ケンタッキーダービー3着のゼンダン(2着)など一線級を撃破。12月26日に行われたG1マリブステークスでは2着馬に4馬身1/4差をつけて3度目のG1勝ちを飾りました。主戦はベテランのマイク・スミス騎手。ダート1800メートル戦は3戦2勝、2着1回で、ワンターンの競馬も2戦2勝と得意。日本馬の強力なライバルになりそうです。


ホスト国のサウジアラビアからは過去最多の4頭が出走することになりました。現地レーティングではエンブレムロード(牡5、父クオリティロード、アレッサンドロ&ジュセッペ・ボッティ厩舎)がトップの120。スコットランドヤード(牡4、父クオリティロード、ミタブ・アルムロワ厩舎)が差のない119で2強ムード。2頭に少し離れてサンセットフラッシュ(牝7、父メイソン、ナ・アルミンディール厩舎)110、ラゲルサライム(牡5、父グタイファン、ナ・アルミンディール厩舎)106となっています。


地元のエースとして登場するエンブレムロードは昨年の優勝馬。人気馬総崩れの中、直線で一気にはじけて差し切り勝ち。波乱の主役となりました。その後、アルムロワ厩舎からボッティ厩舎に転厩。7月にフランスのヴィシー競馬場で行われたG3ヴィシー大賞にオリビエ・ペリエ騎手で出走しましたが、久々の芝のためか動きがさえず6頭立ての5着に終わりました。その後、サウジアラビアに戻ったエンブレムロードは1月13日の一般戦(ダート1600メートル)に快勝しています。

米国のスティーヴ・アスムッセン厩舎からサウジ入りしたスコットランドヤードは、エンブレムロードを失ったアルムロワ厩舎の新エースです。馬主はエンブレムロードと同じアブデュラアジズ王子で、父もエンブレムロードと同じクオリティロード。母のレスリーズハーモニーは米国でエクリプス賞を3度受賞した名牝ビホルダー(G1・11勝を含む18勝)、米国で4年連続で種牡馬チャンピオンに輝くイントゥミスチーフの半妹で、ブリーダーズカップ・ジュベナイルターフやUAEダービーを制して種牡馬になったメンデルスゾーンの半姉という良血です。米国では4戦して2度の2着が最高でしたが、新天地に移って素質開花。サウジ初戦の一般戦(ダート1600メートル)を8馬身差で勝ち上がると、年明け1月14日のキングファイサルカップ(ダート1600メートル)は6番手から差し切って連勝(2着に3馬身3/4差)。中1週で向かった二聖都の守護者杯(ダート2000メートル)は16頭立ての大外枠から出て、直線入り口先頭から後続を10馬身1/4差ちぎる完勝で、新星誕生をアピールしています。


◆サウジカップ(日本時間26日午前2時35分発走予定)

枠番 (馬番)馬名 騎手

▲1(7)パンサラッサ 吉田豊

◎2(10)テイバ M・スミス

△3(3)クラウンプライドレーン

△4(9)スコットランドヤード グティエレス

 5(13)サンセットフラッシュ アルサハニ

△6(6)ジュンライトボルト ムーア

 7(8)リモース オシュア

 8(4)エンブレムロード モレノ

 9(11)ヴァンドギャルド バルザローナ

◯10(2)カントリーグラマー デットーリ

 11(12)ラゲルタライム フェレイラ

 12(5)ジオグリフ ルメール

△13(1)カフェファラオ モレイラ


競走成績などは2月24日現在

(ターフライター奥野庸介)


※3月3日、同10日は休載します。次回更新は3月17日の予定。

ぶらっといらっしゃった松山康久元調教師
ぶらっといらっしゃった松山康久元調教師