雨の激戦でカヴァレリッツォ(牡、吉岡)が2歳マイル王に輝いた。仏リーディングのクリスチャン・デムーロ騎手(33=イタリア)に導かれ、内から鮮やかに差し切った。助手時代に父サートゥルナーリアも手がけた吉岡辰弥調教師(49)はG1・2勝目を挙げた。
◇ ◇ ◇
雨、芝、泥。飛び交う無数の異物にゴーグルの視界を遮られても、馬上のイタリアンは進路を見逃さない。眼前に壁のような馬群が広がった直線473・6メートル。外へ持ち出すのをあきらめ、すぐさま内へとカヴァレリッツォを導く。逃げ馬の真後ろからステッキを振るい、最後は外からねじ伏せるように差し切った。左手を小刻みに突き出して歓喜のフィニッシュだ。
「本当に強い。めっちゃ元気」。日本語で切り出したC・デムーロ騎手は「外にスペースがなくて内へ切り替えた。クリストフ(ルメール騎手)が手応え良く逃げていたのでキャッチできないかと思ったけど…よかったよ」と声を弾ませた。今年は自身初の仏リーディングを獲得。家族で来日した昨年と違い、飛行機が苦手な娘マティルダちゃんをフランスへ残しての“単身赴任”でも、さすがの豪腕で手土産をつかんだ。
助手時代に父サートゥルナーリアも担当した吉岡師は「父譲りのスピードを持っている。すばらしい馬を管理できて幸せ」と相好を崩した。前走のデイリー杯2歳Sでは序盤で馬群にひるむなど幼さを露呈して2着に敗れた。左へ張る癖も考慮して、左に僚馬を置いて併せ馬を重ねるなど、短期間で矯正に努めた。今週のホープフルSには同じ父を持つジャスティンビスタもスタンバイさせている。
幾多の名馬を輩出した登竜門を突破して、夢は広がる。来年の進路は未定だが、凱旋門賞2勝の名手は「もう少し落ち着きが出れば、2000メートルにも対応できると思う」と可能性を口にした。暗い雨雲の下で切り開いた明るい未来。広がる視野には次なる頂点が見えてきている。【太田尚樹】
◆カヴァレリッツォ ▽父 サートゥルナーリア▽母 バラーディスト(ハーツクライ)▽牡2▽馬主 (有)シルクレーシング▽調教師 吉岡辰弥(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 3戦2勝▽総獲得賞金 9362万4000円▽馬名の由来 曲馬師(伊)。母名より連想

