阪神が今季3度目のサヨナラ勝ちで5連勝を飾り、2位広島とのゲーム差を今季最大の5に広げた。同点の9回裏無死満塁、豊田寛外野手(28)が開幕から31試合連続無失点中だった巨人守護神マルティネスを相手に決勝犠飛を放った。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(44)は3打席凡退していた豊田に4打席目を与えた藤川球児監督(44)の起用法に注目。「次世代も見すえた信念を感じた」と振り返った。【聞き手=佐井陽介】

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藤川監督は同点で迎えた9回裏無死満塁、6番スタメン起用した豊田選手に代打を送りませんでした。豊田選手はこの日、1打席目から2打席連続で内野ゴロ併殺打。3打席目も見逃しての3球三振に倒れていました。左翼守備では二塁走者の本塁生還を封じる好返球を決めていましたが、3打席目までの内容を見る限り、サヨナラの好機ではさすがに代打を送るのかなとも想像しました。

相手は開幕から31試合連続無失点中だった巨人の絶対的守護神、マルティネス投手です。なんとか無死満塁のタイミングで試合を決めてしまいたいところで、まだベンチには左打者の糸原選手が残っていました。直球に強く、バットに当てる技術も高く、四球も奪える糸原選手がいたにも関わらず、藤川監督は豊田選手に4打席目を与えました。この起用に、藤川監督の次世代も見据えた信念を感じ取りました。

振り返れば、同点に追いついた直後の6回表にはドラフト3位ルーキーの木下投手を送り込んでいます。同点のまま迎えた9回表も守護神の岩崎投手を投入したくなるタイミングで、石井投手をチョイスしています。もちろん目の前の勝敗が大切なのは言うまでもありませんが、藤川監督は長いシーズンをトータルで考え、さらには次世代の人材育成もイメージしながら選手起用を続けているのでしょう。

佐藤輝選手の起用法にしても、交流戦からそのまま外野出場で落ち着かせるのかと思いきや、三塁に戻すことで、再び左翼ポジションを若手で争わせることに成功しています。この日は藤川監督の信念が豊田選手のサヨナラ犠飛を生んだようにも映りました。(日刊スポーツ評論家)

阪神対巨人 9回裏阪神無死満塁、サヨナラ犠飛を放った豊田(右)を笑顔で出迎える藤川監督(撮影・上田博志)
阪神対巨人 9回裏阪神無死満塁、サヨナラ犠飛を放った豊田(右)を笑顔で出迎える藤川監督(撮影・上田博志)
阪神対巨人 8回、交代を告げる前にベンチで立ち止まる阪神藤川監督(撮影・藤尾明華)
阪神対巨人 8回、交代を告げる前にベンチで立ち止まる阪神藤川監督(撮影・藤尾明華)