ヤクルトが強いのです。開幕前、評論家の方々はもちろん、失礼ながら、こちらもBクラス、なんなら最下位候補と考えていました。しかし開幕から優勝候補筆頭の阪神と首位争いを繰り広げ、現在はその阪神に1ゲーム差をつけ、首位を走っています。

12、13日と阪神との2試合が行われた神宮球場。旧知の人物に軽くあいさつをしました。坪井智哉氏、ヤクルトの打撃コーチです。往年の虎党には説明するまでもない阪神暗黒時代で1人だけ、期待を背負っていた虎のヒットマン。イチロー氏と同学年で、同じ左打ち、振り子打法で知られた存在です。

試合前、指導に精を出す合間、坪井コーチに「強いね。すごいやん」とひと言、かけてみたのです。苦笑気味に彼が返してきた答えは「いやあ、打者はすごくないです。投手がいいですよ、投手はすごい」。そんな話だったのです。

投手力のいいヤクルトですが、13日の逆転勝ちなどを見ても打線の粘りはなかなかのもの。主砲で看板だった村上が大リーグに抜けて、これですから打線もたいしたものでしょう。

先月、甲子園でのヤクルト戦のときに話した衣川バッテリーコーチもこんなことを言っていました。「阪神強いですねえ。ウチ? ウチは今だけですよ」。もっと早い時期だっただけに余計、そんな感じだったかもしれませんが、総じて謙虚な様子が見てとれるのです。

同時にこちらが勝手に思うのは「なんだか関西色が強いな」ということです。この衣川コーチは兵庫出身で高校は大阪・大商学園です。前述した坪井氏は東京出身ですが、阪神で名を売りました。

そして独特の明るい姿勢で指揮を執るブンブン丸こと池山監督は尼崎出身です。さらに言えば坪井と同じく打撃を指導する吉岡コーチは、今はなき近鉄バファローズ「いてまえ打線」のメンバーでした。

そういう目で見るから、そう感じるのかもしれませんが、結構、面白いのです。なにしろヤクルトで関西色と言えば、これも言うまでもない知将・野村克也氏と、レジェンド捕手で元監督の古田敦也氏という関西出身コンビで一世を風靡(ふうび)したものです。

シーズンはまだまだこれからですが関西の野球ファンも、そんなヤクルトの様子から目を離せないのでは、なんて気もしています。【編集委員・高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)

ヤクルト対阪神 阪神に勝利しファンに笑顔であいさつする石井巧(手前)らヤクルトナイン(撮影・垰建太)
ヤクルト対阪神 阪神に勝利しファンに笑顔であいさつする石井巧(手前)らヤクルトナイン(撮影・垰建太)