日本文理が加茂暁星に7-1で勝ち、県大会にコマを進めた。0-0で迎えた4回2死に川村啓真(2年)がライナーで右翼芝生席にボールを運ぶソロ本塁打。豪快な1発で味方打線に火を付けた。相手は夏4強のメンバーが全員残る優勝候補の一角。同じ優勝候補の日本文理が、快勝で制した。

 鋭い一撃が日本文理打線の発火点になった。無安打に抑えられていた4回2死。川村が弾丸ライナーのソロ本塁打を右翼芝生席に突き刺した。チーム初安打が豪打爆発を告げる号砲。「あそこで自分が打って、流れが一気に変わった。本塁打は投手にダメージも与える」。2死一、二塁の場面では宮沢大貴(2年)の左翼への3ランが飛び出し、1イニング2本塁打。充満していたエネルギーが爆発した。

 「大きかった。あの1発で、いくらか気持ちが楽になった」と大井道夫監督(74)も認める価値ある川村の一打。打席でフォームを微調整して本塁打につなげた。というのは、カウント1-1からのスライダーを右翼場外への特大ファウル。「体の開きが早かったから、体を残すように意識した」。そんな姿勢で待ち構えていたカウント2-2からの5球目。チェンジアップに全身で反応して「しっかりバットが出てきて、いい感じに捉えられた」。

 優勝候補の筆頭だった夏は4回戦で長岡大手に敗れた。フライを上げてアウトを重ねた。「新チームも、低めの変化球に手を出すのが課題だった」。そう話した川村もテーマ克服に取り組んだ。「しっかり上からたたこうと、意識してやってきた」と言う。常に試合の打席を想定しながら1球、1球大切にしてきた。そんな練習が実を結び、15年春の3回戦、白根戦以来の公式戦本塁打になった。

 1年の春に日本文理の4番に座って以来、クリーンアップから外れたことのない豪打の持ち主。今回は5番ながら、バットで勝利の推進役を果たした。「最後は北信越優勝を目指している。1試合、1試合、勝っていかなければ、次はない」。川村の視線は、もう次を見ていた。【涌井幹雄】