第106回全国高校野球選手権は、京都国際の初優勝で幕を閉じました。日刊スポーツ東北6県版では「書き切れなかった東北の夏 2024」と題し、記者が見た今夏の一幕を、全4回でお届けします。第3回は仙台育英(宮城)の須江航監督(41)の言葉から、グッドルーザーの姿が映し出されました。
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「甲子園にふさわしい子たちでした」。宮城大会決勝で涙をのんだ仙台育英(宮城)。須江航監督(41)は力強い言葉でナインらをたたえた。2年前の夏。東北勢初優勝を成し遂げ、100年以上の時を経て、優勝旗が白河の関を超えた。「自分たちの練習や甲子園に対する意識、夢物語ではなくて本当に優勝を狙いにいく、優勝候補として出場して優勝するんだなど、いろんなもののレベルが一つ上がった」と話した。
「優勝候補」として臨んだ昨夏の甲子園は慶応(神奈川)にあと1歩及ばず準優勝。「『優勝したときと、準優勝したときではなにが違うのか?』という答えを探し続けて、『もう1回優勝したい』という思いでスタートしました」と振り返る。だが、昨秋の県大会は準々決勝敗退。センバツどころか、東北大会出場も逃し、現在地を思い知った。「そこから歯を食いしばって一番頑張ってきました。3年間で一番練習したチームでした。本当の意味で自分に対して厳しくなることを追及してきたチームだったので、最後は報われてほしいと思いましたけど…。力を出させてあげることができずに申し訳ないです」と静かに語った。
引退した3年生はここが終わりではない。試合後のあいさつ時、ナインは相手の健闘を祈り、声をかけた。甲子園の道を絶たれた悔しさのなかでも、勝者をたたえる気持ちは決して忘れなかった。「人生は敗者復活戦」と選手にも語りかけた。
「終わりは始まりなので、今日(決勝)をどう感じて、明日からどうするかというところに目を向けてほしい。負けた時に人間の本質というか、姿が現れる。負けてグッドルーザーであることを体現してくれたので、誇りに思うし、新しいスタートの合図だったなと思います」とうなずいた。敗者となったあの瞬間、これまでの思いを胸にそれぞれがスタートを切った。【木村有優】

