西武秋山翔吾外野手(27)がまた1歩、若き日のイチローに近づいた。日本ハム戦の2安打で、94年5、6月のイチロー以来となる、史上2人目の2カ月連続月間40安打を達成した。20試合、88打数での40安打は月間打率4割5分5厘のハイアベレージ。残り2試合での、プロ野球新記録となる月間9度目の猛打賞も視野に入ってきた。

 冷静な表情とは裏腹に、秋山の心は燃えたぎっていた。月間39安打で迎えた5回の第4打席。初球だった。日本ハム・クロッタの内角151キロに臆せず踏み込んだ。体に巻き付けるようにバットを出すと、強烈なゴロが一、二塁間を破る。大打者に並ぶ大記録だったが、27歳の喜びは別の視点にあった。「節目の数字はうれしいですが、夢中でやっているだけなので。当てられた後でも内角に踏み込んで打てたことが良かった」と唇を横に結んだ。

 第1打席で右脇に今季2つ目の死球を受け、安打を放った第3打席でも直球が頭部付近を通過した。数字を残すにつれ、相手の警戒は厳しさを増すばかり。その中でも自分の形を崩さず、結果を出せたことに手応えを感じた。「ここで逃げ腰になったら厳しい球を打てなくなる。それは嫌だった」と自分を貫いた結果の一打だった。

 決して状況に惑わされない。プロ野球記録に名前を刻んでも「僕みたいな選手の対比がイチローさん。信じられない。不思議な感覚」と苦笑いする。24日のソフトバンク戦ではスタンリッジの内角に腕をたたみ、腰を回して右翼ポール際に大ファウル。これまでにないほど鋭い打球を放ったが「自分のスイングではない。あの打ち方をしたら打撃が崩れる」と瞬時に決別した。この心の強さが2カ月に80本もの安打を生んだ。

 72試合を終え、シーズンの半分を折り返した。単純計算なら238・3本ペースだが「まだ半分ですよ、半分」と人ごとのように捉える。自分を見失わず、1段ずつ歴史的な歩みを進める。【松本岳志】

 ▼秋山が2安打、6月の安打が40本となった。5月も40安打しており、2リーグ制後にシーズン2度の月間40安打以上は63年7、9月榎本(大毎)94年5、6月イチロー(オリックス)14年5、8月山田(ヤクルト)に次いで4人目。2カ月連続の40安打以上は94年5月40本、6月40本のイチローに次いで2人目の快挙。