「お祭り」を満喫できなかった。全パの4番に座った日本ハム中田翔内野手(26)は、大きくため息をついた。「ダメだね。おもしろくない」。故郷凱旋(がいせん)でぶち上げた「1発予告」は“未遂”に終わった。

 4打席、目指したのはたったひとつ。スタンドインだけだった。前日17日の左翼線適時二塁打に続き、この日も6回に左前打を放ったが、試合前には「球宴では適時打はいらない」とキッパリ宣言していた。「ああいう打撃をしていて、本当にジャパンの4番なのか…と、ちまたでは言われている」。一体「ちまた」がどこなのかは不明だが、大舞台で「中田翔」を見せつけるのは、豪快なアーチが一番だともくろんでいた。「1発打って、オレが4番だというところを見せたい。狙っていく」。相当に意気込んでいたが、花火を打ち上げたのは大阪桐蔭の後輩・西武森。「すごいね。持ってるね」。すっかり主役を奪われた。

 それでも、かけがえのない財産を得た。少年時代は広島市民球場に足を運ぶ、カープファン。当時から、黒田はあこがれだった。初めての対戦は、スライダーに空振り三振。「スライダーもツーシームも素直にすごいと思った。打席に立てて楽しかった」。野球少年のときのように、純粋に対決を楽しんだ。

 生まれ故郷・広島で球宴に出場することは、最初で最後になるかもしれない。「思い出になった。いいリフレッシュになった」。スポットライトは、明日20日のリーグ戦再開後に浴びればいい。【本間翼】