ベンちゃん最後のカツにナインがこたえたぞ。中日和田一浩外野手(43)が、ナゴヤドーム内で引退会見を開き、後輩たちにラストメッセージを送った。若手の奮起を期待し、愛してやまない中日の再建を託した。会見後の広島戦で4試合連続となる代打安打を放つと、打線は12安打8得点で快勝。エース前田もKOして、竜の意地を見せつけた。
後輩へのメッセージを聞かれたときだ。和田の目の奥は笑っていなかった。
「何やってるんだ! しっかりしろ! と言いたいですね」
3年連続Bクラスは確実となり「4年間優勝できず、自分の力のなさを感じるのが一番残念」と責任は感じているが、40歳を超えた自分を脅かす存在が出てこなかった。即戦力で入団しながらクビを覚悟し続けた若手時代。努力と工夫を重ねて独特の打法を編み出し、名球会まで上り詰めた苦労人の心のさけびだ。
「勝てばいい思いができて給料も稼げる。チャンスはいっぱい転がっている。何とかつかんでほしい。来年以降、また常勝軍団になれるように、若い選手たちにもう1度、強いドラゴンズに戻してほしい」
練習前の会見にはユニホーム姿で登場した。まだバリバリの1軍戦力だ。7-1の7回2死。出番はやってきた。大歓声に包まれての代打で、江草から右中間に二塁打を放った。これで13日から4試合連続での代打ヒット。本拠地最終戦の24日がラストゲームの予定。試合後「あと5試合。優勝争いしていなくて申し訳ないけど、声援をくれるファンに少しでも元気な姿を見せたい」と語った。
俺はまだ打てる-。「オフに膝の手術をして開幕から2カ月遅れ、思うようにプレーできなかった。一方でまだできるという葛藤の1年だった」。3日に落合GMから戦力外を告げられた。それまで現役続行も考えていた。だが「その瞬間に決めた。そのときが来た」と潔く決断した。
「ここのユニホームを脱いでほかのチームにという選択肢は8年前から全くなかった」。幼少時からファンだった中日での引退を選んだ。3日以降の打率は4割1分2厘と、最後の意地を見せ続ける。
いつまでも最下位で恥ずかしくないのか! 和田のさけびは、後輩に届いたのかもしれない。前日の黒田に続いて前田も打ち込み5回途中でKOした。CSの火が消える目前で2夜連続の快勝。引退を決めてもなお、投手に立ち向かう和田の姿と言葉は、残された選手たちの財産となって刻まれる。【柏原誠】



