今春の甲子園優勝右腕で、強打を誇る敦賀気比・平沼翔太内野手(3年)が、日本ハムに4位指名を受けた。春夏計3度の甲子園に出場し、本塁打も放った非凡な左打者。秋の国体では遊撃手をこなした逸材で、日本ハムは内野手として高く評価。巨人、阪神で活躍した小林繁氏(故人)に中学時代に指導を受けた金の卵は、恩返しを誓った。

 最初は緊張した様子の平沼だったが、今の心境を、筆を手に『夢』としたためて表情が和らいだ。「小さい頃のあこがれ、夢がかなってうれしいです」。そして甲子園の大舞台で躍動した18歳の口を突いたのは、ある男の名前だった。

 「日本ハムはプロに入るために教えてもらった、小林さんが最後にいたチーム。恩返しがしたい」

 小林繁-。巨人、阪神で熱投を演じ、球界に名を残した“悲劇のエース”だ。09年に日本ハム2軍投手コーチとして千葉・鎌ケ谷で若手を鍛え上げた。

 プロ球界で指導を終えた後、中学時代の平沼が所属した「オールスター福井」の総監督に就いた。小林氏は平沼を「必ずプロにいく選手」と逸材を認めていた。10年に他界した後も、その生きざまを記憶にとどめながら、教え子はプロを夢見てきたのだ。

 「すごい才能の人間はいっぱいいる。でも謙虚にテングになるな。一生懸命に努力しろ、そう言われたのは忘れていません」

 自身3度の甲子園では投手で10勝、打者でも打率3割7分5厘で“二刀流”を実証。日本ハム幹部が複数で視察した9月開催のわかやま国体でも「4番遊撃」で出場。本人は「どちらも準備したい」というが、木田GM補佐が「打撃は高校生トップクラス」というように遊撃を理想として野手で高い評価をしている。

 若手育成に定評のある日本ハムで、平沼は磨き上げられる。「今度はぼくが少年たちのあこがれになるように一流を目指します」。1度も足を踏み入れたことのない北の大地。天国の小林さん、見ていてください-。今度はオレが夢をつむぐ。【寺尾博和】