土壇場の逆転劇で今季初の貯金だ。日本ハム近藤健介捕手(22)が同点に追いついた9回2死満塁から、右前への殊勲打でサヨナラ勝ちを決めた。「気合で打ちました」とプロ初のサヨナラ安打。チームメートにペットボトルの水をかけられて、「本当に気持ち良かった」と歓喜に浸った。

 ちょっぴり違うドキドキ感もあった。この日、先発マスクの市川が6回に負傷交代。途中出場した大野も9回に代打を送られた。「徐々に練習はしている」と、この日は試合前のシートノックで捕手に入ったが、守備に就いていれば、ぶっつけ本番だった。今季は昨オフに痛めた左膝痛の影響で本格的な捕手練習はできぬまま開幕。「ホッとしてます。打てて良かった」。覚悟はできていたが、打撃センスを発揮して自らの“危機”も回避した。

 試合前から劇的なフィナーレが予感めいていた。クラブハウスのテレビにはCS放送で、かつての名場面が流れていた。04年9月20日、札幌ドームでのダイエー戦。3点差を追いついた9回2死満塁で打席には06年限りで現役引退した新庄氏。左中間へ大きなアーチを描いたが、一塁走者の田中幸(現日本ハム2軍監督)に抱きつかれて走者追い越しで単打に。「幻のサヨナラ満塁本塁打」として語り継がれる映像に、ナインはくぎ付けだったという。

 この日も9回に追いつき、最後は満塁機。12年前の名シーンを再現するように、近藤が体現してみせた。栗山監督は「ああいうところになればなるほど(選手の能力の)本質」と、素直にたたえた。「どうやって貯金をつくるか。この3連戦が重要だと思っていた」。最高の形で勢いづく白星となった。【木下大輔】