最速152キロ右腕が、プロ1年目からの活躍を誓った。九産大のエース、草場亮太投手(4年=伊万里商)は、甲子園出場こそないが、当時から素材には定評があった。大学4年間でグングン成長。体の線はやや細いが、キレのある直球でチームの春4連覇に貢献。夢だったプロで「即戦力&2ケタ勝てる投手」を目指す。

 マウンドで自信に満ちていた。九産大の草場が負ければ終わりの7日の秋季リーグ3位決定戦で先発し、1失点完投勝利を挙げた。「自分が食い止めないといけない、と思った」。最速152キロ右腕が、ネット裏に詰めかけたプロのスカウトに成長した姿を見せつけた。

 大きな実績はない。伊万里中時代は軟式野球。内野手から投手に転向し、伊万里商では2年夏からエースナンバーを背負ったが甲子園には届かなかった。スカウトから注目される存在ではあったが、プロ志望届を出さずに九産大へ進学した。「結果を残してプロに行きたい」。その気持ちは4年間、変わらなかった。右肩痛などで3年春からようやく本領を発揮すると、大学選手権初戦で日体大(首都)相手に7回途中2安打無失点の投球で当時の自己最速150キロもマークした。ドラフト候補生に名前を連ねるようになった。

 最終学年の今年の春は負ければV逸の土壇場で先発8回途中1失点、10奪三振の好投で逆転優勝をもたらした。「大学でつかんだのは気持ちの強さです」。大久保哲也監督(55)からも将来大きく育つように、大一番で起用し、ピンチでも続投して「頼れるエース」として育てられた。「立ち上がりはいつも悪いけど、自分でどうすれば修正できるかも、分かる」と動じない精神力も身についた。21日からの九州大学選手権予選トーナメントも勝ち上がり、明治神宮大会への出場のチャンスも残っている。

 11球団から注目され、ネット裏には常にスカウトがいた。「もう慣れてますよ」。子供のころから「憧れだった」というプロの舞台に上がろうとしている。

 草場 プロとしてやるなら2ケタの10勝ができる投手になりたい。もちろん、即戦力として期待されていることは分かっているし、1年目から目標です。

 昨年日本ハムドラフト3位入団高良一輝投手(23)も見て勉強にしてきた。最速152キロ右腕が夢をつかみ、さらなる夢を追い求める。【浦田由紀夫】

 ◆草場亮太(くさば・りょうた)1995年(平7)11月5日、佐賀・伊万里市生まれ。立花小2年で野球を始めた。伊万里商から九産大に進学。1年春からリーグ戦登板も右肩痛などで2年秋まで登板なし。3年春に復活し、スリークオーターから自己最速の152キロを投げ込み、注目を浴びた。183センチ、75キロ。右投げ右打ち。