楽天釜田佳直投手(24)が18日、宮城・利府町立しらかし台中学校で人生初の教壇に立った。被災地の子どもたちに笑顔を与えることを目的に行われている、スポーツこころのプロジェクトの「夢先生」として約1時間半、中学生を相手に授業を行った。

 2年3組の約30人の生徒を前に、ネクタイを締めスーツに身を包んだ釜田は「すごく緊張してます」と、正面から向き合った。マウンド同様に堂々と振る舞い、自身の失敗までもさらけ出した。12年のルーキーイヤーに、18歳で7勝を挙げた時を振り返り「今までのプロ生活で一番良かった時期。田中(将大)さんと3勝しか差がなくて、そのときは、てんぐになってしまった」と素直に明かした。

 そして、天国から地獄を味わう。翌13年は1勝に終わり、オフには右肘を手術。さらに、その半年後にはトミー・ジョン手術も受けた。その後のリハビリメニューのキツさに手を抜きたくなることもあったというが「『あとで後悔したくない』という一心で必死にやった。1日たりとも手を抜かなかったと、これだけは自信を持って言える」と語り、中学生たちは真剣に聞き入っていた。今季の釜田は、自己最速の154キロを記録するまでに復活。「みんなもこれから自分で決断しなければならない場面が来ると思うが、後悔しない選択をして欲しい」の言葉には、説得力があった。

 同校野球部の川村耀投手は「全国出場を目指し、後悔しないよう練習する。球場で釜田選手のタオルを持って応援したい」と、やる気に満ちていた。釜田も「来季は自分がフル回転して日本一になる。みんなを招待できれば一番いいですね」と飛躍を誓った。【林野智】