誠也流を吸収。広島堂林翔太内野手(26)が25日、マツダスタジアムに隣接する屋内練習場で1人、打ち込んだ。前日まで3日間練習パートナーでともに汗を流した鈴木誠也外野手(23)の助言をヒントにフォームを微修正。強打の選手がそろう外野や一塁での出場機会を奪うためにも、打力の向上は欠かせない。

 屋内練習場に乾いた打球音が響いた。堂林は力を抜いたような構えから、マシンが放つ白球をはじき返した。その姿はシーズン中と異なる。右肘を上げ、脇をあけた構えから、そのままインパクトまでバットを振り下ろす。新たな形を模索するように、振り込んだ。

 「肘が通るように、今は極端にやっている。オフだからいろいろできる。もともと右脇を締めて打つ方ではないのですが、大げさにやったら右肘がスムーズに出る感覚があった。思ったよりも感じはいいので、続けていきたい」

 22日から3日間、練習パートナーとしてともに汗を流した後輩鈴木に求めた助言がヒントとなった。右肘を上げて右肘の通りを良くする理論に納得した。「年下であろうといいものはいいものとして、どんどん聞いていこうと。やれることはやる」。シーズン中から助言を仰ぐ新井の教えがあるが、吸収できるものはすべて吸収する覚悟だ。

 全試合に出場した12年から打席数は年々減り、今年はここ6年で最低の54打席に終わった。来年はプロ入り9年目。外野と一塁には外国人選手や松山ら打力のある選手がそろうだけに、定位置奪取は容易ではない。「(広島打線の)このメンツだと打たないと出られない。僕は決して足や守備の選手ではないので」。なりふり構っていられない。打力を磨かなければ、出場機会も増えない。

 構えたときの脱力も意識する。インパクトで100%の力を伝えるためだ。「決してホームランバッターではない」と言うが、長打力は求められる。理想は外野の間をライナーで抜く二塁打や三塁打。その先に本塁打がある。「自分のいいときを追い求めすぎてもダメ。新しいものを取り入れていかないと。あの誠也でも新しいものと取り組んでいる」。停滞する状況を変えるためにも、まずは自分が変わらなければいけない。【前原淳】