節目の一戦で活躍した。西武浅村栄斗内野手(27)が楽天9回戦で通算1000試合出場に到達。7号2ランを含む3安打3打点で、4連勝に貢献した。チームの貯金は今季最多16。2位とのゲーム差は、早くも今季最大の6に広がった。プロ10年目で自身初となる優勝へ向け、キャプテンが引っ張っていく。

 記念ボードや花束を受け取っても、背番号3は、あまり表情を変えなかった。浅村は「今まで使っていただいた、監督、コーチに感謝でいっぱいです。1つの節目。素直に、うれしいです」と、ぼそりと言った。8年前の初打席を思うと「想像も出来なかった」1000試合出場。1年目の09年、2軍監督だった故片平晋作さんに「強く振れ」と言われ続け、土台を築いた。振り切った当たりは、節目の一戦でも飛び出した。

 秋山のソロで先制した3回。なお、1死一塁で回ってきた。楽天藤平にカウント1-2と追い込まれたが、5球目の内寄り143キロにくるりと回転した。「秋山さんがホームラン。自分も良い形で続けられればと」。楽天の左翼フェルナンドは、途中で走るのをやめた。完璧だった。

 4回1死一、二塁では一転、右打ちの軽打で7点目。状況に応じた打撃で楽天の自力Vを消滅させたが、5年前は、その楽天に苦い思いをさせられた。あの打席が、忘れられない。13年9月26日、西武ドーム。3-4で迎えた9回2死二、三塁だった。サヨナラの好機に、背番号32は向かった。だが、田中(現ヤンキース)にカウント2-2と追い込まれると、最後はアウトロー153キロに豪快に空振り。直後、思わず、手にしたバットを見ていた。自分の本拠地で、初優勝に沸く敵の姿を目に焼き付けた。

 浅村 自分たちも、早くこういう経験を味わいたいと思いました。そういう意味で、あの打席は大きな打席になっています。

 屈辱を胸に、時は流れた。背番号は変わり、キャプテンを任されるようになった。16年からは全試合出場も続く。が、「こだわりは、ないですね」と言い切る。個人のことよりも、たった2文字が欲しいから。9連戦を7勝2敗で終え「今年はチャンスだと思っています」と締めた。節目到達を“優勝”への通過点とする。【古川真弥】