2位のヤクルトが「総力戦」で首位広島に食らいつく。今日3日からマツダスタジアムで3連戦。6・5ゲーム差で追う小川淳司監督(60)は「セ・リーグを面白くするためにも全力を尽くす」と9連戦の幕開けカードからブルペン陣の総動員を決断。2位以下の5チームが3・5差にひしめく混戦に引きずり込む。

 盛夏を前にセ・リーグの灯は消せない。敵地へと向かう東京駅。小川監督は「暑いね」と額に汗の粒を光らせ、薄い水色のジャケット姿でホームに現れた。広島との6・5差を詰め、下克上への挑戦権を確保するための3連戦。丁寧な言葉の中に闘志をたぎらせた。

 「ウチが何かを言うのは、まだまだおこがましい。でも2位以下は団子状態だし、セ・リーグを面白くするためにも、広島にも何とか勝てるように全力を尽くすだけ」

 9連戦のスタートも意識しない。「前半戦最後なので投手は総動員でいく。あまり先のことを考えず、その試合を勝てるように」と一戦必勝を貫く。石井弘投手コーチも「広島をたたかないと優勝は見えてこない。9連戦だが全員野球でぶつかっていく」と総意を代弁。ブルペンの用兵も整えた。

 昨年10月の右肘手術後は2軍調整中の星を今季初昇格させ、ブルペンに加える。昨季は先発ローテも担ったが、今季は2軍でリリーフ登板を積み13試合0勝0敗5セーブ。田畑投手コーチは「連投もできているしいい報告が来ている。厚みは増すと思う」と期待する。原とともに、中尾、近藤、石山の「勝利の方程式」に組み込んで盤石の体制をとる。

 マツダスタジアムは、昨季から5連敗中と分が悪い。小川監督は「気にならない。まずは勝ち越せるよう頑張るだけ」と新幹線に乗り込んだ。昨季最下位からの船出も、交流戦の最高勝率を挟み上げ潮で折り返し地点を迎えた。強い上昇気流をつかんだ今なら鬼門も突破できる。なりふり構わずリーグ2連覇中の王者に挑む。【浜本卓也】