日本ハムで守護神、セットアッパーとして活躍した武田久投手(41)が、昨季限りで現役生活にピリオドを打った。

兼任コーチだった日本通運を退社し、今年からは日本製鉄東海REXで投手コーチを務めている。通算167セーブ、107ホールド。北海道移転後の黄金期を支えた同投手へ集まったファンの声、そして同投手の感謝の思い。日刊スポーツ北海道版の紙面上で、引退セレモニーを実施した。

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-現役引退の決断

武田久 自分の中では(日本ハム退団後、社会人で)2年というのは考えていた。兼任コーチとは言っても、去年も全然試合に出ていないし(公式戦登板ゼロ)、自然の流れというか。悔いはないです。

-NPBでは15年で通算167セーブ、107ホールド。最多セーブを3度、最優秀中継ぎ投手を1度獲得した

武田久 ファイターズだから、こうやって長くできたというのは思っています。巨大戦力といわれるようなチームだったらどうだったのかな。北海道に移転するタイミングもちょうどよかった。年齢的な部分でも旬のときだったし、運がよかったなっていうのはある。北海道に移ってすぐにお客さんが満員だったわけじゃないし、チームが強くなっていく過程を経験できたこともよかった。いまファイターズは人気球団だけど、はじめからこうなったわけじゃない。多くの先輩やいろんなスタッフの力があって、いまのファイターズがある。若い子たちは、そこを勘違いしないでほしいな。

-印象に残っている試合

武田久 後ろのポジションを任されていたので、やっぱり抑えていることより、打たれた試合を覚えている。日本シリーズでもサヨナラホームランを打たれているし(09年第5戦、巨人阿部に)。いい思い出は印象に残っていないなぁ。打たれたことを糧にして頑張ってきたから。

-札幌ドームでの登板

武田久 ちょうどブルペンからグラウンドに出て行くときに、投手交代のコールがかかる。歓声というか盛り上がりが聞こえて、すごく勇気をもらえていた。よし今日も頑張ろうと。本当に、毎回鳥肌が立っていた。ありがたいよね。感謝の気持ちしかないです。やっぱりホームで投げるのはいいよね。特別でした。05年に敗戦処理で投げるようになって、そのシーズンの終盤に勝ちゲームでも投げるようになった。そうすると日に日に歓声が大きくなるのがわかって。ファンの人ってしっかり見てくれていて、期待してくれて。うれしかったです。

-武田久という投手とは

武田久 う~ん、難しいね。プレースタイルとしては、やっぱり真っすぐ。ストレートにずっとこだわってやってきた。球速ではなく、キレのいい真っすぐ、打たれない真っすぐを追い求めた。だから、そこそこ長く出来たんじゃないかな。よく言うでしょ? 「年取ってきたから変化球投手になる」とか。いや、変化球投げる方が難しいんだから、普通に考えて(笑い)。自分は年を取ってもストレートにこだわってきた。かわすピッチングはしなかったから。

-今年は日本製鉄東海REXで投手コーチ。ファンからは「日本ハムに戻ってきて欲しい」という声もある

武田久 それは、もし縁があれば、かな。いまは社会人野球に魅力を感じているし、コーチングをしっかり勉強したい。社会人野球は地元の支援を受けて野球をやらせてもらっている。だから結果で恩返しをする。日本製鉄東海REXにも素質ある選手は多いよ。でもまだ自信を持てていないという感じ。うまく引き出して、いい方向に導いてあげたい。

-ファンへメッセージ

武田久 はじめからそんなにいい場面で投げていたわけではない。でもずっと応援してもらって、さっきも話したようにどんどん歓声も大きくなって。最後はまた負け試合でも投げていたけど、それでも変わらない声援をくれた。すごく感謝です。みなさんの声援、後押しがなかったら、ここまで長くできていなかった。みなさんのおかげで、幸せな野球人生を送れました。ありがとうございました。