独自システムでスタッフ4人のみ 紅白戦配信の背景

  • 紅白戦 ベンチ横のカメラマン席に入るオリックスナイン(撮影・前岡正明)
  • 紅白戦 黒いマスクを使用する主審(撮影・前岡正明)

<オリックス紅白戦:紅組1-0白組>◇25日◇京セラドーム大阪

新型コロナウイルスの感染予防に努め、プロ野球開幕を待ちわびるファンの思いは、ある数字に表れていた。約2万5000人-。

開幕日が決まった5月25日、オリックスの紅白戦中継を視聴した人たちだ。スポーツ特化型ライブ動画配信サービス「イレブンスポーツ」がインターネットで配信。Eleven Sports Network社の担当者が説明した。

「他の試合に比べると多いですよね。これまでもSNSを通じて再開を心待ちにしているファンの方々の声が届いてましたが、あらためて野球を待ち望んでいるファンの方々の気持ちを実感しました」

オリックスは3月21日の練習試合楽天戦以来、約2カ月ぶりの1軍実戦だ。実は同社がNPB球団の紅白戦を配信するのは初めて。その舞台裏には球団と同社の熱意があった。同社の担当者は「コロナ禍でファンの皆様に少しでも早く日本のプロ野球を楽しんでいただけるコンテンツを検討していたところ、オリックス・バファローズ球団からも配信に関する相談をいただき、実施することになりました」と経緯を説明した。

4月7日に緊急事態宣言が出されてから、初めてのプロ野球の「試合」だった。有料配信のコンテンツもあるなか、この日は心意気たっぷりに無料に踏み切った。「このような状況下で、より多くのファンに野球を楽しんでほしい思いで初戦は無料とさせていただきました」。試合にはアナウンサーの実況も入り、臨場感あふれる野球場の音が響いた。

ウイルスの感染を抑えているとはいえ、まだ終息していない。その状況でも中継できる大きな要因に、独自の制作システムがある。この日、京セラドーム大阪を訪れたスタッフはわずか4人。その内訳は、カメラマン2人、ディレクター1人、コンピューターグラフィック1人で、拍子抜けするほどの少なさである。しかも、テレビ局のような中継車がない。3密(密閉、密集、密接)のリスクが少ない、少数精鋭の態勢もメリットだろう。

同社は昨年3月から2軍公式戦のライブ配信を開始し、今年は2年目に入る。NPBの開幕を待つなか、ウイルス禍に見舞われた。球界が活動停止中も工夫した。ファームの若手を中心に「選手名鑑」の動画を配信。同社担当者は「さまざまなスポーツイベントが延期、中止になり、コンテンツが減ってしまう状況で、選手のことをより良く知ってもらいたいという気持ちでした」と話す。長らく、2軍公式戦を集中的に中継する媒体がなかっただけに、この窮地に立たされて新興メディアの奮闘が光る。

「あらためて野球、スポーツが日常生活に必要なものだと痛感する機会となりました。今後は野球ファンだけでなく、さまざまなスポーツファンに1年中、楽しんでいただけるコンテンツを配信する予定です」

ウイルスとの共存、オンライン5G社会の到来…。新時代に息づく姿を見た。なお、26、27日もオリックスの紅白戦をライブ中継する。日々、ファンのニーズに寄り添う。【酒井俊作】