“DeNAファン心のふるさと”として名高いテレビ神奈川が「おうち時間に盛り上がろう! プレイバック熱烈LIVE」と題して、ベイスターズの名勝負をピックアップ放送している。

開幕を待ちこがれるハマっ子は当然、チェックを欠かさない。放送直後はツイッターのトレンドランキングで上位に食い込むこともある。

26日午後7時からの放送は、ルーキーの「メルセデス」大貫が、メッセンジャーに堂々と投げ勝った昨年7月4日の阪神戦。日刊スポーツ復刻版でも余韻をもう1度!

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<DeNA7-2阪神>◇2019年7月4日◇横浜

DeNAがじわじわ上位に進出してきた。目下のライバル阪神に3連戦で勝ち越し、同率から単独3位に浮上した。ドラフト3位ルーキー大貫晋一投手(25)が5回2失点で4勝目。前々日に5勝目を挙げた上茶谷に続き、球団で新人2人が同一カードで先発勝利は63年ぶりとなった。5日からは首位巨人と3連戦。天敵メッセンジャーを下した勢いで立ち向かう。

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ベンチに戻った大貫のもとに、ラミレス監督が通訳と近づいてきた。初回に1失点を喫した直後。交代? いや、違った。指揮官は「ナーバスになっていないか?」と尋ねてきた。大貫は「YES」と英語で答えた。「他の人から見ても、ナーバスに見えたということ。いい意味で開き直れたと思います」。普通の人なら否定する場面でも、素直に答えた。

強がることはなかった。頭の中では、前回登板の映像がよみがえっていた。6月22日の楽天戦(横浜)。1回を投げきれずKO。自己ワーストの6失点を喫した。「また今日も前回みたくなってしまうのでは」と脳裏をよぎったが、同時に2軍生活を思い返した。「変化球への意識が強く、腕の振りが緩くなっていたと思う。思いっきり、腕を振ることを意識した」と格好つけることなく、愚直に課題と向き合った。

物おじしない-。本来の姿が戻った。1点リードで迎えた5回。単打と四球が絡み、2死一、二塁。カウント2-2からの5球目、マルテをフォークで誘うが見極められた。一打出れば、同点。それでも、続けた。6球目もフォークを選び、強く振り切った腕で空振り三振に仕留めた。「アウト1つ取ることが、どれだけ大変かすごく勉強になった」。初回とは別人、満面の笑みでベンチに戻った。

素直な性格は、変わらない。日体大在学中のこと、髪は今よりも長髪だった。古城監督から指摘されたが、1度は髪を切ることを固辞した。最終的に自らスポーツ刈りに仕上げたが、物おじしない、怖がらない。今カードの初戦では上茶谷が勝利。新人2人で2位広島と0・5ゲーム差、チームの4カード連続の勝ち越しに貢献した。大貫は「上茶谷のことは、ライバル視はしていない。新人王? それも全く気にしていない。刺激し合って、いければいい」。最後まで大きいことは言わず、自分を貫いた。【栗田尚樹】